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新たな肺炎球菌ワクチン「プレベナー20」、導入後の費用対効果を推定-ファイザーほか

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2024年06月10日 AM09:30

プレベナー13に含まれない血清型による感染症増加が課題

ファイザー株式会社は6月4日、日本における小児肺炎球菌感染症予防について、同社の沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(製品名:プレベナー13水性懸濁注、以下プレベナー13)の代替として、沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン(製品名:プレベナー20水性懸濁注、以下プレベナー20)を導入する意義について、医療経済学の観点から評価し、その結果が論文掲載されたことを発表した。この研究は、慶應義塾大学医学部小児科学教室の新庄正宜氏と同社が行ったもの。研究成果は「Expert Review of Vaccines」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

肺炎球菌には約100種類の血清型があり、急性中耳炎や肺炎、特に小児や高齢者においては、菌血症、髄膜炎などの侵襲性感染症をきたす重要な病原体である。プレベナー1は13種(1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、23F)の血清型を含むワクチンで、予防接種法に基づく定期接種に用いるワクチンのひとつとして、小児の肺炎球菌感染症の予防のために現在使用されている。「」の普及に伴い、同剤に含まれている血清型由来の小児侵襲性肺炎球菌感染症(invasive pneumococcal disease;以下、IPD)は減少した。プレベナー13販売開始時の2013年、小児のIPDを引き起こす肺炎球菌のうち、同剤でカバーされる血清型は53.2%だったが、2023年では2.5%にまで減少した。現在は、プレベナー13に含まれないその他の血清型による感染症の増加が課題となっている。

プレベナー13の代替としてプレベナー20を導入する経済効果を評価

プレベナー20は、プレベナー13に含まれている13種に加え、新たに7種(8、10A、11A、12F、15B、22F、33F)の血清型が追加されており、より広範な血清型をカバーしている。日本では2024年3月26日に小児における肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15B、18C、19A、19F、22F、23Fおよび33F)による侵襲性感染症の予防」に対し国内承認されている。「高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者における肺炎球菌による感染症予防」を目的とした製造販売承認申請も行っている。販売開始は2024年8月頃とされている。そこで同社は、プレベナー13の代替として、プレベナー20を導入する意義について、医療経済学の観点から評価した。

費用削減額は今後10年間で約1789億円、生産性損失を含めると約3526億円と試算

費用対効果分析モデルに入れるワクチンの価格については、プレベナー13は日本での希望納入価格である7,200円、プレベナー20は分析当時の米国での価格を参考に8,102円と設定した。分析の結果、今後10年間で、ワクチンの費用として約250億円が追加で必要となるものの、約2039億円の医療費削減効果があり、差し引きで約1789億円の費用削減と試算された。

さらに、子どもの病気のために、介護者が仕事を休むことなどによる生産性損失も含めると費用削減額は約3526億円と試算され、プレベナー20の導入による費用対効果は良好との可能性が示唆された。なお、8,102円は日本の希望納入価格ではなく、費用対効果分析モデル用に設定した価格であり、実際のプレベナー20の日本での希望納入価格はこれより低く設定されている。

より多くの血清型をカバーするワクチンの早期導入に期待

今回の分析は、疫学情報や治療費、さらにはワクチンの有効性、接種率、接種費用といったワクチン関連情報などの複数の情報を組み合わせ、費用対効果分析モデルを構築してシミュレーションを行っているため、分析に用いるパラメータの情報源の選択や分析結果の精度には限界がある、としている。

また、研究論文の筆頭著者である新庄正宜先生は次のように述べている。「本論文では医療経済的な観点から、プレベナー20の価値を示すことができた。プレベナー20はプレベナー13と比べてカバーする血清型が多いため、高い有効性が期待される。ワクチンの普及により、侵襲性感染症全体は大きく減るものの、ワクチンでカバーされない血清型の感染症が増えるという、いわゆる“血清型置換”が課題となっている現状において、肺炎球菌感染症から子どもたちを守るため、多くの血清型をカバーするワクチンの早期の導入が待ち望まれる」。

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