成人用医薬品に比べてドラッグロスが深刻な小児用医薬品開発では、成人用医薬品の開発時に小児用医薬品の開発計画を策定することについて、法令上努力義務として位置づけるなど、さらなる開発促進の規定を設けることを検討する。
小児用医薬品の開発計画が策定された医薬品の再審査期間について、既に10年が設定されている場合は延長の余地がない現状を踏まえ、上限を引き上げる方向性も示した。
小児用医薬品等の開発の支援を行う特定用途医薬品指定制度の対象についても、用量追加や剤形追加の申請区分のみならず、新有効成分等の申請区分も対象にすることを提案した。
また、条件付き承認制度の運用拡大も検討する。現行制度は承認の取り消し規定がなく、明らかな効果が確認できた第II相試験の結果に基づく場合や、検証的試験の実施途中である場合の適用を想定したものとなっている。医療上の必要性の高い希少・重篤な疾患に対する医薬品については欧米と同様に、取り消し規定を設けた上で、探索的試験の段階で医薬品を早期に承認するベネフィットが、検証的試験が必要であることによるリスクを上回るものに対して、その臨床的有用性が合理的に予測可能な場合に承認を与える制度を検討する。
承認取得後に実臨床のリアルワールドデータ(RWD)のみの臨床成績による承認申請も可能であることを法律上明確化することも対応の方向性に挙げた。RWDの信頼性の確保については、これまで通知により留意点を示してきたが、GCP省令等と同様に信頼性の基準を省令により定めることについて議論する。
一方、医薬品の供給不足に対応するための制度見直しも検討する。既承認医薬品の供給ひっ迫により、医療上の著しい影響が生じる場合に、海外で流通している代替品の承認審査・調査を迅速に行うことができる仕組みの導入を提案した。当該品目については、海外で流通している医薬品の包装のまま国内で流通できるよう一定期間の外国語表示を認める特例となる。
そのほか、生物由来製品や放射性医薬品等の保管のみを行う製造所や海外製造所については、認定制ではなく登録制にすることも検討する。