医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > プレミアム > 【厚労省】小児薬開発は努力義務化-条件付承認制度の拡大も

【厚労省】小児薬開発は努力義務化-条件付承認制度の拡大も

読了時間:約 1分53秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2024年06月10日 AM10:40

厚生労働省は6日、医薬品医療機器等法の改正に向け、小児用医薬品開発の計画策定に関する努力義務化や探索的試験段階で承認を付与する条件付き承認制度の運用拡大などの方向性案を、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会に示した。制度見直しを検討することで、日本での医薬品開発が未着手となっているドラッグロス問題への対応を図る構えだ。小児用医薬品開発の努力義務化には、委員から「努力義務ではなく、義務とすべきではないか。開発計画策定の実効性を担保すべき」と、より踏み込んだ法制上の検討が必要との意見が出た。

成人用医薬品に比べてドラッグロスが深刻な小児用医薬品開発では、成人用医薬品の開発時に小児用医薬品の開発計画を策定することについて、法令上努力義務として位置づけるなど、さらなる開発促進の規定を設けることを検討する。

小児用医薬品の開発計画が策定された医薬品の再審査期間について、既に10年が設定されている場合は延長の余地がない現状を踏まえ、上限を引き上げる方向性も示した。

小児用医薬品等の開発の支援を行う特定用途医薬品指定制度の対象についても、用量追加や剤形追加の申請区分のみならず、新有効成分等の申請区分も対象にすることを提案した。

また、条件付き承認制度の運用拡大も検討する。現行制度は承認の取り消し規定がなく、明らかな効果が確認できた第II相試験の結果に基づく場合や、検証的試験の実施途中である場合の適用を想定したものとなっている。医療上の必要性の高い希少・重篤な疾患に対する医薬品については欧米と同様に、取り消し規定を設けた上で、探索的試験の段階で医薬品を早期に承認するベネフィットが、検証的試験が必要であることによるリスクを上回るものに対して、その臨床的有用性が合理的に予測可能な場合に承認を与える制度を検討する。

承認取得後に実臨床のリアルワールドデータ(RWD)のみの臨床成績による承認申請も可能であることを法律上明確化することも対応の方向性に挙げた。RWDの信頼性の確保については、これまで通知により留意点を示してきたが、GCP省令等と同様に信頼性の基準を省令により定めることについて議論する。

一方、医薬品の供給不足に対応するための制度見直しも検討する。既承認医薬品の供給ひっ迫により、医療上の著しい影響が生じる場合に、海外で流通している代替品の承認審査・調査を迅速に行うことができる仕組みの導入を提案した。当該品目については、海外で流通している医薬品の包装のまま国内で流通できるよう一定期間の外国語表示を認める特例となる。

そのほか、生物由来製品や放射性医薬品等の保管のみを行う製造所や海外製造所については、認定制ではなく登録制にすることも検討する。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 プレミアム 行政・経営

  • 【PMDA】コロナ薬投与で注意喚起-妊娠可能性ある女性に
  • 【薬価部会】不採算品再算定、対象絞り込みを-25年度中間年改定
  • 【厚労省調査】敷地内薬局、専門連携の1割-処方箋集中率は93.1%
  • 【臨試協調査】外資が日本を第I相拠点に-国内実施のメリット認識か
  • 【NPhA】半数以上が後発品を選択-長期品選定療養に一定効果