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TAK-861、ナルコレプシータイプ1対象P2b試験で睡眠潜時を延長-武田薬品

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2024年06月06日 AM09:00

OX2Rを選択的に刺激、NT1のオレキシン欠乏状態を補う

武田薬品工業株式会社は6月3日、TAK-861について、ナルコレプシータイプ1(NT1)を対象とした臨床第2b相試験の良好な結果を米国睡眠学会および睡眠研究学会の第38回年次総会であるSLEEP2024で発表した。

TAK-861は、現在開発中の経口オレキシン2受容体(OX2R)作動薬。OX2Rを選択的に刺激することで、NT1で見られるオレキシン欠乏状態を補うよう設計されている。

NT1は慢性的で希少な神経疾患の一種。オレキシンニューロンが著しく減少し、神経ペプチドであるオレキシンの脳内濃度や脳脊髄液内濃度が低下するため、過度の眠気が生じる疾患だ。これまでに、NT1の背景にある病態生理を標的とする治療薬として承認された医薬品はない。NT1の患者は、日中の過度の眠気(excessive daytime sleepiness:EDS)、情動脱力発作()、夜間の睡眠分断、入眠時や睡眠覚醒時の幻覚や、睡眠麻痺の症状に苦しむ。これらの深刻な影響を伴う症状は生活の質(QOL)を著しく低下させ、仕事、学業や人間関係に深刻な影響を及ぼす。

統計学的に有意な睡眠潜時の延長示す、8週間持続

今回発表された試験は、NT1患者112人を対象とした無作為化、二重盲検、プラセボ対照、反復投与試験であるTAK-861-2001試験(NCT05687903)。主要評価項目と副次評価項目において統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が示され、有効性は8週間の投与期間にわたり持続した。

主要評価項目の覚醒維持検査(MWT)では、プラセボと比較して同試験で評価したTAK-861の全ての用量で統計学的に有意かつ臨床的に意味のある睡眠潜時の延長が認められた(プラセボとのLS平均差はすべてp≤0.001)。改善は8週間にわたって持続した。また、エプワース眠気尺度(ESS)および1週間あたりのカタプレキシー発現率(WCR)を含む主な副次評価項目でも一貫した結果が得られ、眠気およびカタプレキシー(筋緊張の突然の消失)の頻度に関する主観的評価項目がプラセボと比較して顕著に改善し、その改善は8週間にわたって持続した。これらの持続的な改善の結果として、同試験のNT1患者の大部分は、8週間の投与期間終了時までにMWTおよびESSが正常範囲内に収まった。同試験を完了した被験者の大部分は長期継続投与(LTE)試験に登録され、一部の患者は投与期間が1年に達した。

同試験で評価した探索的評価項目においても、大部分の被験者でナルコレプシーの症状および日常生活の機能に意味のある改善が認められた。これらのデータは、今後の医学学会等でのポスターセッションでも発表予定だとしている。

TAK-861の安全性および忍容性は概ね良好であり、治験薬と関連のある重篤な有害事象または有害事象による投与中止はなかった。臨床第2b相試験および現在実施中のLTEにおいて、肝毒性や視覚障害の事例は認められていない。主な有害事象は不眠症、尿意切迫、頻尿および唾液分泌過多。大部分の有害事象の重症度は軽度から中等度であり、そのほとんどが投与後1~2日以内に発現し、一過性だった。

NT1対象TAK-861のP3試験、2024年度上期に開始予定

同社は同試験の結果に基づき、世界各国の医薬品規制当局との協議に基づき、NT1を対象とするTAK-861の国際共同臨床第3相試験を2024年度上期に開始する予定。なお、米国食品医薬品局(FDA)は、臨床第2b相試験のデータに基づき、TAK-861をNT1患者のEDS治療薬としてブレークスルーセラピーに指定した。

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