厚生労働省は5月30日、医薬品、医療機器、再生医療等製品の承認申請を行う場合に、併用薬の使用方法が既承認の範囲外であったとしても、医療現場での使用実績が十分で安全性が担保できているなど条件を満たせば、併用薬の承認申請なしで主薬の承認申請を行っても差し支えないとの通知を発出した。
併用薬の使用方法が主薬等の承認事項や添付文書で適切に規定されるのが条件。これまでは併用薬の使用方法が既承認の効能・効果、用法・用量その他の承認事項の範囲外である場合には、併用薬でも承認申請が必要となり、製薬業界からルール緩和の要望が上がっていた。薬事承認上の取り扱いについては、事前に医薬品医療機器総合機構(PMDA)への相談や併用薬の製造販売企業との調整を行うよう求めている。
併用薬の承認申請なしで対応可と想定しているのは、▽医薬品、医療機器、再生医療等製品が適切に効果を発揮すること、主薬等の投与により懸念される有害事象に対応することなどを目的として、主薬等と同時、その投与前後に前処置やレスキュー等のために併用薬を使用する場合▽主薬等の適応疾患への使用を目的として、併用薬を使用する場合――の二つのケース。前者はキメラ抗原受容体遺伝子改変T細胞療法(CAR-T療法)投与時に用いる免疫抑制剤、後者は抗癌剤の併用薬をイメージしているという。
一方で、▽併用薬が未承認▽併用薬の使用の適切性を主薬等の臨床試験の成績からは評価できない▽安全性のプロファイルが大きく変わる懸念があり、別途、併用薬の審査が必要であると考えられる▽対象疾患が併用薬の既承認の効能・効果と大きく異なる▽併用薬にかかる医療現場での使用実績が十分ではない(初回承認時の再審査期間が満了していない)――については、不適切とした。