2023年度の処方箋受取率(医薬分業率)が前年度比3.9%増の80.3%と初めて80%を突破したことが、日本薬剤師会が29日に公表した保険調剤の動向「23年度調剤分(全保険・速報値)」で明らかになった。全都道府県で分業率が増加し、青森、秋田、新潟の3県は90%を超えた。
分業率は15年度に70.0%と7割を突破し、その後は微増で推移。新型コロナウイルス感染症の影響で21年度には史上初の減少を記録するなど踊り場の局面に入ったが、23年度に3.9%増と大きく伸び、医薬分業元年とされる1974年からおよそ50年で80%の大台に乗せた。
豊見敦常務理事は、23年度の伸びについて「コロナの影響で20~22年の伸びが低調だった分の反動もあるのではないか」と分析。他の県薬会長からは「医薬品供給不足の問題で院内処方から院外処方に一時的にシフトした医療機関もあった」との見方も示された。
都道府県別の受取率を見ると、上位3県の秋田県(92.4%)、青森県(90.7%)、新潟県(90.3%)が90%を超え、前回調査で11道県だった「80%以上」は25都道県と倍増した。前回は福井県が「60%未満」となったが今回はゼロとなり、「60~70%未満」も10府県から5府県に減少した。
調剤件数は、7億1884万4975件(対前年度比6.8%増)と7億件を超えた。処方箋枚数も8億5629万5427枚(7.1%増)と8億枚を突破し、調剤点数は7927億2470万7000点(6.0%増)と増加した。
一方、処方箋1枚当たりの金額は9348円から9258円に減少した。