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成人のPTSDに対するブレクスピプラゾールの臨床試験結果を発表-大塚製薬ほか

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2024年05月30日 AM09:20

・セルトラリン併用療法の安全性と有効性を検証

大塚製薬株式会社は5月29日、同社の米国子会社Otsuka Pharmaceutical Development & Commercialization,Inc.と、H.ルンドベックA/S(以下、)が、米国フロリダ州マイアミで開催された米国臨床精神薬理学会(ASCP)年次総会において、成人の心的外傷後ストレス障害()患者を対象に、新規抗精神病薬「(一般名:ブレクスピプラゾール)」とセルトラリンの併用療法の安全性と有効性を検討したフェーズ2試験(#061試験)およびフェーズ3試験(#071試験と#072試験)の詳細な結果を発表したと発表した。

レキサルティは大塚製薬が創製した独自の薬理作用を有する化合物。海外ではルンドベック社と共同開発し、2015年に米国で「成人の大うつ病補助療法」および「成人の統合失調症」の2つの効能で承認され、現在、日本を含めた約60か国・地域で展開している。2023年5月には、米国初となる「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」の効能追加の承認を米国FDAより取得した。日本でも、2023年10月に「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション(攻撃的行動及び発言、非攻撃的行動の亢進、焦燥を伴う言動等)」について、効能追加申請を行っている。

ブレクスピプラゾールとセルトラリン併用群、プラセボ併用群に比べPTSDを改善

3つの試験における主要評価項目は、投与10週目までのプラセボとセルトラリン併用療法に対するブレクスピプラゾールとセルトラリン併用療法のCAPS-5(Clinician-Administered PTSD Scale for DSM-5)総スコアの変化量だった。

試験はランダム化、二重盲検、アクティブコントロールで行われ、#061試験と#071試験は可変用量試験で、#072試験は固定用量試験だった。#061試験と#071試験においてブレクスピプラゾールとセルトラリン併用群は、プラセボとセルトラリン併用群と比較して、CAPS-5総スコアの10週目時点での変化量において統計学的に有意な減少(p<0.05)を示した。

#072試験では、ブレクスピプラゾールとセルトラリン併用群は主要評価項目を達成しなかったが、PTSD症状の重症度の改善は#071試験および#061試験と一致していた。#061試験と#071試験では、臨床全般印象・重症度スコア(Clinical Global Impression-Severity Illness:CGI-S)およびCAPS-5の4つの症状(再体験症状、回避症状、考えや感情の否定的な変化、過覚醒症状)において一貫して改善が見られた。

3試験におけるブレクスピプラゾールの安全性も確認

ブレクスピプラゾールとセルトラリンの併用群の忍容性は良好であり、3つの試験における安全性の結果は、これまで得られたブレクスピプラゾールの安全性プロファイルと一貫していた。試験全体における治験薬投与開始後に発現した有害事象の発現率は、ブレクスピプラゾールとセルトラリンの併用群で55.5%、セルトラリンとプラセボの併用群で56.2%だった。

#061試験結果は、ブレクスピプラゾールとセルトラリン併用群における、CAPS-5総スコアの最小二乗平均値は-16.4だった(p=0.011、セルトラリンとプラセボ併用群と比較)。ブレクスピプラゾールとプラセボ併用群では-12.2、セルトラリンとプラセボ併用群では-11.4、プラセボ単体群では-10.5だった。

#071試験結果は、ブレクスピプラゾールとセルトラリンの併用群による最小二乗平均値は-19.2だった(p=0.0007、セルトラリンとプラセボ併用群と比較)。セルトラリンとプラセボ併用群では-13.6だった。#072試験結果は、ブレクスピプラゾール2mg/日とセルトラリンを併用した結果、最小二乗平均値は-16.5だった(p=0.52、セルトラリンとプラセボ併用群と比較)。ブレクスピプラゾール3mg/日とセルトラリンの併用群では-18.3(p=0.66、セルトラリンとプラセボ併用群と比較)、セルトラリンとプラセボ併用群と比較では-17.6だった。

両社は「PTSDに対する認識不足や間違った診断が、適切なPTSDの管理を妨げている。症状が現れてから治療を受けるまでの平均期間は12年にものぼる。今回得られた知見は、一般的な精神障害でありながら慢性的に誤解されているPTSD症状の管理における重要な進展を意味する。ブレクスピプラゾールとセルトラリンの併用療法が、PTSD患者の新たな治療選択肢となることを期待している」と、述べている。

 

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