調査は、同日に開かれた厚生労働省の「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」で公表された。2~3月に大都市、地方都市、過疎地域の病院・診療所、薬局、訪問看護STを対象に病院等152施設、薬局262施設、訪問看護ST97施設の計511施設にアンケート調査を行った。
薬局に関しては、患者状態の変化で迅速な対応が必要となった場合、必要な医薬品を届けるために時間を要する状況への対応に向けた準備として「何もしていない」と回答したのは大都市46施設、地方都市69施設、過疎地域52施設で、回答施設中の6割を占めた。そのため、研究班は「患者が必要な医薬品の供給について薬局が検討し、医師や訪問看護師と連携して日常から準備していくことが重要」とした。
過去1年間に患者の状態変化により対応が必要となった事態に、医療機関か訪問看護STの連絡を受けて速やかに医薬品供給ができなかった事例も「10~20件」と回答したのが2施設確認された。理由として、「医薬品の在庫がなかったから」が計29件、「夜間・早朝・休日だったから」が計13件の順に多く、「近年の医薬品供給状況を踏まえると、薬局のみの対応では限界がある」と分析した。
一方、患者の状態が変化し迅速な対応が必要になった場合の対応手順について、医療機関とは「全ての患者」「多くの患者」について申し合わせがあるとの回答が多かったが、訪問看護STとでは医療機関と比べてこれら回答が少ない傾向が見られた。
患者の状態変化で迅速な対応が必要となった事態における対応手順について、医療機関と申し合わせを行っている訪問看護STは計95施設だったが、薬局とは計51施設で、一部患者における申し合わせにとどまる事例も多かった。輸液・薬剤を入手できずに速やかに対応できなかったことを医師に連絡していたのも計14施設だったのに対し、薬局に連絡していたのは計6施設にとどまり、薬局なしで対応を検討していた。
調査結果を受け、研究班は「薬局と訪問看護STの連携は不十分」とし、地域内での医薬品提供体制が求められる中、患者の急変時に対応可能な薬局を周知することが重要とした。
小林百代構成員(さかうえ薬局)は、訪問看護師との連携が円滑となる事例として「サービス担当者会議で医療職種が情報共有・交換を行うと、その後も情報交換が円滑に感じることが多い」と指摘した。