日薬連の立場から発言した中濱明子委員(エーザイ執行役チーフポートフォリオオフィサー)は、安定供給・品質事案再発防止に向けた取り組みとして製造所のガバナンスを強化するため、製造管理者要件の見直しを求めた。
中濱氏は、「低分子を中心とした時代からペプチド核酸、遺伝子治療など治療モダリティの多様化に伴い、製造・製剤化・分析等の技術も多様化し、幅広い自然科学分野から、最適な技術背景を持つ人材を製造管理者に充てる必要が出てきている」と指摘。
その上で、「薬剤師に加え、医学、薬学、工学、農学など自然科学分野の幅広い人材から、技術に合致した最適な人材を製造管理者に指名できるよう要望する」と述べた。
体外診断薬業界から山口真理子参考人(日本臨床検査薬協会法規委員会副委員長)は、製造販売業(総括製造販売責任者)、製造業(製造管理者)、販売業(営業所管理者)の各責任者が薬剤師であることの要件が求められているため、「製造販売業と製造業の責任者は薬剤師のみに限定するのではなく、薬剤師以外の要件も認めていただきたい」と述べた。
さらに、販売業についても「体外診断用等製品のみを扱う販売業を新設し、営業所管理者は薬剤師以外の要件も認めていただきたい」と要望した。
これら要望に対し、三澤日出巳委員(慶應義塾大学薬学部教授)は、「薬剤師教育では、大学のコアカリキュラムの中で製造管理者として必要な薬機法などを教えており、国家試験などで一定の知識水準は担保している。(製造管理者の適格性は)製造者が製造管理者を指名するということだけで認めていいとは思わない」と主張した。
森昌平委員(日本薬剤師会副会長)も「医薬品の品質管理や市販後の安全管理に関する業務を適正に遂行する能力がある者ということで薬剤師であると理解している。要件を変えるのであれば、なぜなのかを含め慎重に検討すべき」と述べた。
中濱氏は、製造管理者の要件について「自然科学の履修要件に加え、どういった従事経験があるかも必要と考えている。今後の制度部会で議論させていただきたい」と述べた。