厚生労働省は9日付で、国家戦略特別区域調剤業務一部委託事業の実施要領をまとめ公表した。業務を受託した薬局(受託者)は対象業務を他の薬局に再委託することは不可としたほか、調剤の責任は原則として処方箋を受け付けた委託薬局(委託者)にあることを明記。委受託の件数や副作用疑い症状等を記した報告書を半期ごとに作成し、都道府県に報告することなども求めている。
国家戦略特区における実施要領では、対象業務を「調剤業務における一包化業務」に限定し、患者が直ちに必要とするもの、散剤の一包化など受託者が調剤監査を行うことが困難なものは対象外とした。
委託者、受託者共に、区域設定について国から認定を受けた上で、事業に関する事項を都道府県から認定を受けた場合に事業が実施可能となる。薬局開設者には、委受託の件数、副作用と疑われる症状の発現状況等を報告書として作成し、半期ごとに都道府県に報告することが求められる。
事業を廃止する場合は、30日以内に調剤業務一部委託事業廃止届を提出することとし、委受託先の薬局が事業を廃止した場合も、廃止届または変更届を提出する必要があるとした。他方、都道府県は少なくとも年1回、事業の実施状況を確認する。
調剤の責任に関しては、原則として、処方箋を受け付けた委託薬局開設者と同薬局の薬剤師にあるとした。受託者は、対象業務を他の薬局開設者に再委託することは不可能とした。
業務実施に当たっては、委託者・受託者共に、安全性の確保や質の適切な管理に必要な体制を整備する手順書の作成が求められ、薬局に備えておくよう求めた。受託者については、錠剤分包機や一包化の監査支援装置について求めることも記載した。
委託者・受託者それぞれが実際の業務で遵守すべき事項も明記している。
薬局における調剤業務の一部外部委託をめぐっては、大阪府内で薬局を開設する事業者等で構成する薬局DX推進コンソーシアム、大阪市、大阪府が国家戦略特区制度を活用した実施に向けて準備を進めている。政府は国家戦略特区での事業実施のため、3月に関係省令を改正していた。