健康食品は食品衛生法に基づき、HACCPによる衛生管理が義務づけられている一方、品質管理(GMP)は法規制の対象外で、製造事業者の自主性に委ねられている。
健康食品のうち、サプリメントに関しては、厚労省が2024年3月に発出した通知「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理および品質管理に関する指針(ガイドライン)」によって、GMPによる管理と品質確保を推奨している。
ガイドラインが求める具体的なプロセスとして、サプリメントの製造事業者はHACCPに沿った衛生管理が行われている原材料を受け入れるが、製品に必要な規格に適合したものを受け入れる。
製造管理では、製造工程における指示事項や注意事項を記載した文書作成と、同文書に基づいた製造を求めている。
品質管理を見ると、ロットごとに試験検査に必要な検体採取を行うほか、試験検査の実施と記録の保管を行った上で製品化し、出荷の可否を判断することとしている。
製造販売を行うサプリメントの届出事業者に対しては、製造事業者から品質情報の入手、必要に応じて苦情処理や回収処理を行うよう求めている。
消費者庁は、検討会での議論を踏まえ、機能性表示食品制度においてGMPによる製造工程管理を要件化する場合、対象をサプリメントに限定する案を提示。また、要件化に際しては、▽ガイドラインの内容を踏まえること▽原材料の品質管理▽GMPの確実な実施を確保するために製造・品質管理に関する重要事項を分かりやすいチェックポイントとして整備する▽事業者に一定の準備期間を設ける――を論点として示した。
岡田由美子構成員(国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部第三室長)は、「まずはHACCPに沿ってきちんと安全性を確保することが重要」としつつ、「品質管理のためのGMPを義務化していくことが重要」と訴えた。
西崎泰弘構成員(東海大学医学部主任教授)は、「義務づけない場合でも、GMPを実施・公表していることがアドバンテージとなる仕組みづくりが必要」との考えを示した。
三浦公嗣構成員(藤田医科大学特命教授)は、「まずは業界団体の自助体制を求めていくことがあっても良く、小規模事業者を中心に自主的なGMP実施を技術的にどう支援するか考えるべき」と述べた。
宗林さおり構成員(岐阜医療科学大学薬学部教授)は、「国がチェックポイントを統一し、国や自治体が監視して関与できる形が望ましい」とした。
これら構成員の意見も踏まえ、この日の検討会ではサプリメントに関するGMPによる製造工程管理の要件化に当たって、GMPガイドラインの明確化と法令化、原材料の品質管理にGMPを義務化すること、GMPの実施状況について行政が最終確認を行う方向性を了承した。