これまでも薬局薬剤師がRMP資材を用いることにより、添付文書で記載されていない新薬の潜在的なリスクを認識すると共に、特定されたリスクの最小化に向けては患者とのリスクコミュニケーションにもつながるため、現場での活用が期待されていた。
ただ、国内でRMPが導入されて約10年が経過しているが、薬局での認知度や活用割合は依然として低く、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が実施した調査によると、RMPを理解していると回答した施設の割合は病院が54.4%と半数を超えたのに対し、薬局は25.2%となっており、活用した施設割合になると薬局は11.2%にとどまった。
厚生労働省保険局医療課の安川孝志薬剤管理官は、評価新設について「薬剤師としてはRMPの存在は必須で、RMPをもとに様々な分析を行い、調剤を行ってほしい。そのためにはRMPの活用を促さないといけない」と説明する。
その上で「薬剤師がRMP資材を用いて患者に説明するとなると手間もかかるため、充実した丁寧な指導を行う部分は評価してもいいのではないか。一方、製薬企業は薬局に安全性情報を発信する、RMP資材を提供することが前提となるので考えてほしい」と述べ、企業からアプローチしていく重要性も強調する。
日本製薬工業協会医薬品評価委員会ファーマコビジランス部会の宮崎真部会長(MSD)は4月24日の総会後会見で、「病院薬剤師の認知度が向上しつつある中、薬局薬剤師にはなかなか利用してもらえていなかったのは事実。診療報酬改定はRMPをしっかり使ってもらえるチャンスと考えている」と歓迎する。
日本病院薬剤師会とは定期的に意見交換していたが、今後は日薬とも連携を進める。宮崎氏は「RMPがどのように使われるべきか体制構築を進めている。今月上旬には日薬と意見交換を予定しており、まずは学会でのシンポジウム共催など、できるところから探していきたい」と話す。
一方、現場の受け止めとして、東京都薬剤師会の高橋正夫会長は「急に入ってきた印象」と率直に述べつつ、「RMPは企業が添付文書以外の情報として可能性のあるものを記載しているので、薬剤師は読み込んでおく必要がある。新しい薬剤はRMPの大事さが出てくるので、それをうまく利用できるよう啓発をしていかなくてはならない」と話している。