宮田浩美会長は、理事会後の記者会見で、薬価制度・薬価改定の問題が中間年改定で増幅され、安定供給に重大なリスクがあることを指摘すると共に、「中間年改定は医療機関・薬局から患者まで、医薬品の流通現場にいる多くの関係者に影響があることを示し、改めて廃止または安定供給が可能になる環境が整うまで中断するなどを含めた抜本的な見直しを訴えていきたい」と述べた。
同調査は薬卸連会員のうち、主に医療用医薬品を取り扱う45社を対象に3月12~29日に行われた。回答率は100%。調査結果を見ると、業務負担について「大幅増加」との回答が85%、「増加」が13%、価格交渉頻度は大幅増加が65%、増加が35%、商品マスターの情報更新の作業負担は大幅増加が73%、増加が22%、在庫管理の業務負担では大幅増加が48%、増加が52%との結果で、95~100%が大幅増加・増加したと回答した。
また、情報提供時間・機会では大幅増加が36%、増加が24%、配送回数は大幅増加が9%、増加が45%、返品では大幅増加が31%、増加が56%、急配では大幅増加が11%、増加が66%、薬価調査業務負担は大幅増加が29%、増加が44%などの結果となった。
調査では自由記述回答も実施した。「価格交渉」に関しては、交渉回数の増加、厳しい値引き率の要求などで交渉が難航、見積作成で膨大な作業負担、厳しい交渉で心身共に疲弊など、逼迫した現場の声が多く聞かれた。
「本来業務への影響」では、情報提供時間の大幅な減少、本来のMS業務時間が確保できない、訪問回数・情報提供回数は確実に減少など、「需給調整業務への影響」では、一部で通常より遙かに多い受注がある、調剤薬局を中心に返品が大量発生、在庫圧縮による急配や返品の発生などの意見が寄せられた。
さらに「モチベーションへの影響」については、総じてモチベーションは低下しているとの回答が多く見られており、離職者の増加や業務過多による心身疲弊まで及び、業界を支える人材確保に影響することも懸念される事態が明らかになった。
医療機関・薬局からは、中間年改定によって時間と労力の負担が増大、本来の患者に向けた仕事に集中できない、毎年の価格交渉の煩わしさが医療提供の妨げになる、価格交渉と在庫管理の関連業務負担が増加した、価格交渉負担の関係からボランタリーへ加盟した――などの声が届いていると回答した。