国立医薬品食品衛生研究所と厚生労働省は19日、小林製薬の紅麹含有製品による健康被害について、健康被害情報のあるロットを検査したところ、プベルル酸以外に「複数の化合物」が検出されたことを公表した。物質の同定はできていないとして、「同定作業は相当の時間を要するが、できる限り早期に終えて次の段階に進みたい」とした。
同事案の原因物質の同定に関しては、小林製薬が健康被害のあった製品のロットを高速液体クロマトグラフ(HPLC)による分析を行い、青カビが産生する物質であるプベルル酸が検出されたことを既に公表している。その後、国衛研がロットを限定せずにHPLC等での理化学検査を実施し、プベルル酸を含めた原因となり得る物質を網羅的に検索し、化合物の同定を進めている。
国衛研は中間報告として、健康被害情報のあるロットと被害情報のないロットを比べたところ、被害情報のあるロットではプベルル酸と「複数の化合物」が検出されたことを明らかにした。
ただ、「どのような物質かはまだ特定できていない」とし、「同定作業には相当の時間がかかるが、可能な限り早期に同定作業を終えて次の段階に進みたい」とした。化合物の数については明らかにしていない。
今後、化合物を単離・精製し、NMR(核磁気共鳴)装置で化学構造を調査することで、健康被害に関係する物質の候補推定を行う。紅麹菌が産生する化合物かどうかを検証し、紅麹菌が産生しない化合物である場合、カビが産生する化合物かどうかのほか、化合物がどの段階で混入したかを検証する。