八尾市の5~17歳の感染者/非感染者約3,000人を調査
国立国際医療研究センター(NCGM)は4月18日、新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)に罹患した5~17歳までの子ども1,800人を対象に、「罹患後症状」をアンケート調査で評価し、性別・年齢等をマッチさせた非感染者1,341人(対照群)と比較した結果を発表した。この研究は、同センター国際医療協力局グローバルヘルス政策研究センターの磯博康センター長、細澤麻里子主任研究員らと大阪府八尾市保健所が共同で実施したもの。研究成果は「International Journal of Infectious Diseases」に掲載されている。
小児COVID-19罹患後の健康状態、特に罹患後症状の頻度や関連要因については世界的に報告が少なく、特に非感染者との比較は限られていた。今回研究グループは、小児COVID-19感染による罹患後症状の頻度や関連要因を明らかにするために、大阪府八尾市在住の2021年3月~2022年4月までにHER-SYSに登録された5~17歳までの感染者と性別・年齢等をマッチさせた非感染者を対象とした住民調査を実施した。調査は2022年11月にウェブアンケート方式で実施し、3,141人(1,800人の感染者、平均年齢:10.4歳;1,341人の非感染者、平均年齢10.5歳;回答率38.5%)が回答した。なお、今回の研究における罹患後症状は、「初回COVID-19罹患後に出現し、感染から3か月時点で有し、2か月以上続く症状」と定義した。
感染児の罹患後症状は6.3%、うち半年経過後も深刻な支障10.5%
感染者は、初回感染から平均273日経過し、COVID-19の重症度は1,708人(94.9%)において軽症だった。感染者における罹患後症状の頻度は6.3%と、非感染者における2か月以上続く症状の頻度2.2%よりも約3倍高いことがわかった(性・年齢調整オッズ比:3.15、95%信頼区間:2.08~4.77)。また、罹患後症状がある児においては、感染から半年以上経過後も53.6%が何らかの生活への支障を、10.5%が深刻な支障があると回答した。
さらに、年齢が高い児、アレルギー性疾患や自律神経系疾患の既往がある児において罹患後症状の頻度が高く、また、感染前に2回以上COVID-19ワクチンを接種していた児においては、罹患後症状の頻度が半分だったこともわかった(性・年齢調整オッズ比:0.53、95%信頼区間:0.29~0.96)。
研究グループは、「小児においても、非感染者と比較して感染者に、長引く症状の頻度が高いことが明らかとなった。罹患後症状がある児では、感染から半年以上経過後も、日常生活に支障をきたしている児もおり、今後さらに長期的な経過を追っていく必要がある」と、述べている。
▼関連リンク
・国立国際医療研究センター プレスリリース