厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会は18日、改正医薬品医療機器等法施行後5年をメドとする次期制度改正に向けた検討を開始した。5月からドラッグロスなどを踏まえた承認制度の確立、薬局・医薬品販売制度の見直しなど4テーマについて検討を始め、年内をメドに取りまとめを行う予定。
この日の部会で厚生労働省は四つの検討テーマを示した。具体的には、ドラッグロスや供給不足等に対しては、医療上必要性の高い医薬品への早期アクセス確保に向けた条件付き早期承認制度の見直しや、供給不足を踏まえたアクセス改善に向けた制度見直しなどを列挙した。
薬局・医薬品販売制度の見直しに向けては、一部調剤業務の外部委託の制度化、医薬品の販売区分および販売方法の見直しなどを挙げた。
ドラッグロスや供給不足について、森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は「薬事上見直せる点は見直すべきだが、安全性の確保が脅かされない制度設計が前提だ。製薬企業の責務として安定供給確保の義務づけも含めて検討すべき」と求めた。
伊藤由希子委員(津田塾大学総合政策学部教授)は、「非効率さなど手続きの面で見直すべき点が非常に多いので、開発段階における治験審査・倫理審査の見直しを追記してほしい」と要望した。
さらに、薬局・医薬品販売制度の見直しに向け、デジタル技術を活用した薬剤師等の遠隔管理による医薬品販売に言及。「ブレーキが強すぎて、何のためにアクセルをかけたのか分からないということになりかねない。結果的にデジタルの利点を潰す制度改正にならないようデジタルの利点をどう生かすか議論が必要」とクギを刺した。
これに対して森氏は、薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会で議論が進んでいるとして、「具体的な薬剤師業務については検討会の議論を踏まえて今秋以降に検討すべき」との考えを示した。
山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、さらなる法令遵守や品質確保の取り組みに触れ、「後発品シェア8割の目標達成を進める中、製薬企業が量産に重点を置いてしまった。不適切な製造に至った背景を掘り下げた上で議論すべき」と指摘した。