回収対象となった同社製品は、機能性表示食品に当たることから、政府は今回の事案を受けた機能性表示食品制度のあり方について、5月末をメドに取りまとめるよう消費者庁に指示していた。
そのため、検討会では、消費者団体や事業者団体等から4回にわたってヒアリングを実施し、今後のあり方に関する方向性を示すこととした。
健康食品のうち、食品表示法に基づく機能性表示食品は届出制で、「事業者の責任で保健機能が表示されるもの」と位置づけている。販売60日前までに科学的根拠に基づく安全性・機能性に関する資料を消費者庁に届け出ることで、特定の保健目的(疾病リスクの低減に関するものを除く)が期待できることを表示できる。
科学的根拠に関する審査は行われず、合理性の検証責任はあくまでも届出者にあるとしている。
2015年の施行から今年3月末時点の許可・届出件数は6752件で、サプリメント形状の加工食品が過半数を占める。23年の予測市場規模は約6000億円に達する。
同制度の創設に携わった合田幸広構成員(国立医薬品食品衛生研究所名誉所長)は、「製品にトラブルが起きた際に迅速に報告を求めることが良い点だが、今回の事案では報告が2カ月以上遅れた。早期に届け出ていれば健康被害の拡大を防げたと予想されるので、情報収集について十分な議論が必要」との考えを示した。
宗林さおり構成員(岐阜医療科学大学薬学部教授)も「把握から何日以内、どの程度の規模で報告するかなど報告基準が定められていなかった」と現行制度の不備を指摘した。
合田氏は、品質管理工程を▽製品設計▽GMP▽最終製品の規格審査――の3段階に分け、今回の事案は全段階が崩壊したことで発生したと指摘。
特に、最終製品の規格審査については、異常を検知するシステムの導入など性善説に基づかない製造に対する厳格なルール設定が必要とした。
医療用医薬品における臨床研究法の存在に言及した三浦公嗣構成員(藤田医科大学特命教授)は、健康食品では臨床試験に関する規制が不十分として、「安全性や機能性に関して、適切な試験が実施されていたかも論点となる。もう少し規制をかけるべき」と主張した。
一方で、機能性表示食品に求める基準を高めることで届出が減少し、かえって健康被害に関する情報を把握しにくくなることに対する懸念も示した。
富永孝治構成員(日本薬剤師会常務理事)は、「消費者の誤解を生む名称や宣伝もある。本来は疾病が治癒するものでないことを啓発・教育する責任が製薬企業や販売者にあるので、論点に加えるべき」と述べた。