男性は女性より軟骨組織SHOX遺伝子の発現量が多いと判明
国立成育医療研究センターは4月12日、平均身長の男女差の要因について研究し、成長遺伝子SHOX1発現量の性差がその一因となっていることが示唆されたと発表した。この研究は、同センター分子内分泌研究部の深見真紀部長、服部淳上級研究員、小児外科系専門診療部 関敦仁統括部長らの研究グループによるもの。研究成果は、「Scientific Reports」に掲載されている。
画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)
骨の成長を促すタンパク質を作る遺伝子の一つがSHOX遺伝子である。これまで、男女の軟骨組織で同じように働いて骨を伸ばしていると信じられてきた。しかし今回、男女の膝や指の軟骨組織の遺伝子発現量を詳細に解析したことにより、はじめて、男性の軟骨組織では女性の軟骨組織よりもSHOX遺伝子の発現量が多いことが明らかになった。
女性ではX染色体不活性化により発現が抑制されている可能性
さらに、男女のSHOX周辺のDNAメチル化(DNAの化学的修飾)状態を比較した結果、女性では、X染色体不活性化というメカニズムによりSHOX発現が抑制されていることが示唆された。X染色体不活性化は、性染色体であるX染色体が複数ある場合に、1本だけが活性のまま残り、それ以外では染色体の構造変化が生じて遺伝子の発現が抑制されることを指す。
今回の研究成果について、「長年謎であった、平均身長の男女差を理解する大きな一歩となるとともに、低身長患者の診療にも役立つことが期待される」と、研究グループは述べている。
▼関連リンク
・国立成育医療研究センター プレスリリース