内閣官房健康・医療戦略室は17日、「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」に同会議の論点整理案を示した。国内製薬企業の国際競争力低下や産官学を含めた全体的な戦略の欠如を課題に挙げた上で、その解決に向けて、投資とイノベーションの循環が持続する社会システムの構築などに取り組む戦略目標を明記した。次回の会合で中間取りまとめを行いたい考えである。
同戦略室は、この日の会合後、論点整理案について「内容をまとめている段階」として公表を控えたものの、論点整理案に盛り込む予定の「課題認識」と「戦略目標」に関してのみ内容を明らかにした。
それによると、現状の課題について、▽ドラッグラグ・ロス問題▽わが国の医薬品産業の国際競争力低下▽産学官を含めた全体的な戦略の欠如――との問題意識を示した上で、これらに対応した戦略目標として、▽国民に最新の医薬品を迅速に届ける▽わが国が世界有数の創薬の地となる▽投資とイノベーションの循環が持続する社会システムをどう構築するか――を位置づけた。
課題と目標を踏まえ、国としてどのようなことを進めるべきかについて、牧兼充構成員(早稲田大学大学院経営管理研究科准教授)は「創薬分野では失敗がデフォルトで、失敗に対する評価を行うことも必要。中間取りまとめの内容は政策をただ列記するのではなく、様々な人が読んでワクワクするものにしてほしい」と求めた。
岩崎甫構成員(山梨大学副学長)は「全体を見ると臨床試験の観点が欠けているので充実が必要だ。新規モダリティへの対応や、スタートアップの事業についても記載内容を充実させるべき」と注文を付けた。