日本医療機能評価機構は15日、中心静脈から投与すべき高カロリー輸液や高濃度糖液などについて、末梢静脈から投与した事例が8件発生したことを医療安全情報で公表し、医療従事者に注意喚起を行った。
具体的には、患者はPICC(末梢静脈挿入式中心静脈用カテーテル)から降圧薬が持続静注され、末梢静脈から輸液が投与されており、医師はPICCから高カロリー輸液を投与する指示を出した。
日勤の看護師は投与経路を確認せず、末梢静脈から投与していた輸液を高カロリー輸液に変更して開始。その後、夜勤の別の看護師が末梢静脈から高カロリー輸液が投与されていることに気付いた。
また、別の事例では、患者の中心静脈カテーテルの刺入部に感染兆候があり、医師はカテーテルを抜去後、高カロリー輸液を末梢静脈から投与するよう指示。看護師は指示通り、末梢静脈から高カロリー輸液の投与を開始した。
その後、末梢静脈の血管痛と刺入部の腫脹を認め、投与を中止し、中心静脈カテーテルを挿入している患者が少ない病棟で医師・看護師の知識不足があったというもの。
同機構は、医療関係者に対して、高カロリー輸液など中心静脈から投与すべき輸液は、末梢静脈からは投与できないことを医療機関内で周知するよう注意喚起した。
その際に、中心静脈は太く血流が多いため、高カロリー輸液や高濃度糖液はすぐに希釈されるとしつつ、末梢静脈は血流が少ないためすぐに希釈されず、血管痛や静脈炎などを起こす危険性があることも合わせて周知するよう促した。