厚生労働省と日本腎臓学会は9日、小林製薬の紅麹製品による健康被害が生じた95症例の調査結果を公表した。初診時の主訴として半数以上の症例で倦怠感や食思不振、尿の異常、腎機能障害を認め、腹部症状や体重減少を訴える患者も一定数いたが、大半は被疑剤の中止で回復していた。また、厚労省は小林製薬から報告のあった死亡例5例のうち3例で「前立腺癌」「悪性リンパ腫」「高血圧、高脂血症、リウマチ」の既往歴があったことも公表した。
腎臓学会は、紅麹コレステヘルプ等の使用による健康被害の実態把握を目的とし、学会員に対して4日時点で登録された健康被害を生じた95例に関する調査を行った。
初診時の主訴では、半数以上の症例で倦怠感や食思不振、尿の異常、腎機能障害が認められたが、発熱や嘔吐、頻尿、浮腫や体重増加などを呈する人は比較的少ない傾向にあった。特徴的所見では、低カリウム血症、低リン血症などが見られ、尿蛋白増加なども報告された。
主な治療として、被疑剤の中止のみ行った患者が約75%で、ステロイド治療等を行った患者が約25%だった。透析治療が必要になったのは3症例のみで、現時点で2症例の透析離脱を確認している。
同学会は「薬の中止である程度回復している傾向にあり、実際に透析になった症例でも他の原因が想定されているもの以外は解脱できていることを考えると、必要以上に怖がることはないのではないか」との見解を示した。
紅麹製品ロットから検出されたプベルル酸と健康被害との関連性については「現時点では分からない」とした。
一方、厚労省は、小林製薬から報告のあった死亡例5例に関する情報を公表した。年齢は70歳代が3人、90歳代が1人、不明が1人で、性別は男性が2人、女性が3人。