アクーゴは、慢性期の外傷性脳損傷・脳梗塞を含む複数疾患を対象に、健康成人骨髄液由来の間葉系幹細胞を加工・培養して作製されたヒト骨髄由来加工間葉系幹細胞。脳内の損傷した神経組織に移植することで損傷した神経細胞が本来持つ再生能力を促し、失われた運動機能を回復させる効果を持つとされている。
2019年4月に、治療法の画期性や世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思があると判断され、再生医療等製品の先駆け審査指定制度対象品目に指定されている。同社は、外傷性脳損傷による慢性の運動機能障害を持つ患者を対象とした国際共同第II相試験で得られた有効性・安全性の結果をもとに、22年3月に承認申請を行った。
この日の部会では、同剤の承認の可否ではなく、「これまでの経緯と今後の方向性」について議論。品質に関しては、現時点で得られたデータでは治験製品と同剤との同等性・同質性は判断できないとした。
一方、臨床については、治験製品との同等性・同質性が確認される前提ではあるものの、一定の有効性は期待でき、ベネフィットを踏まえると安全性も許容できるとした。そのため、有効性・安全性に関する情報は現時点では限定的であるものの、臨床現場に提供する意義はあるとした。
厚労省は、今回の部会では承認可否を審議せず、今後の取り扱いを議論したことについて、同剤が先駆け審査指定制度対象品目であることに言及。「いち早く承認し、上市する制度だが、承認申請から2年間経過している現状を重く捉えた」と説明。
治験製品との同等性・同質性を判断できないとしたポイントについては「企業秘密のため回答は差し控える」としつつ、「追加データ提出にどれほど時間がかかるかによるが、データが出ればすぐにPMDAで審査する」とした。
部会の結論を踏まえ、同社は「臨床現場に提供する意義はあると評価されたため、承認取得に向けては品質に関する論点に絞られたものと認識している。当局と協議し、品質に関する追加データ等を提出する」とのコメントを発表した。