根治療法のない希少疾患、NCNPや患者会より開発要請で国内P2/3試験など実施
ノーベルファーマ株式会社は3月26日、「アセノベル(R)徐放錠500mg」(一般名:アセノイラミン酸)について、縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー治療剤として製造販売承認されたと発表した。
縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーは、特に、体幹から離れた部位の筋肉から萎縮・変性していく極めてまれな病気。現在、国内で確認されている患者は約400人とされている。患者は、アセノイラミン酸(N-アセチルノイラミン酸、代表的なシアル酸)の合成が生体内で十分にできないことがわかっている。そのため、筋肉のシアル酸の量がこの疾患の患者では少ないことや、いくつかのタンパク質のシアル酸含量が低下していることも報告されている。同疾患の根本的な治療法はこれまでになく、対症療法として、主に拘縮を防ぐ目的でのリハビリが行われてきた。
アセノベルの開発は、国立精神・神経医療研究センター(NCNP)、NPO法人遠位型ミオパチー患者会(PADM)より同社に要請があったことで行われた。東北大学大学院医学系研究科神経内科学分野の青木正志教授を研究代表者、NCNP神経研究所疾病研究第一部の西野一三部長を医学専門家として、医師主導国内第2/3相試験および国内長期投与試験などがNEDO、JST、文部科学省、厚生労働省、AMEDの事業として実施。また、有効性確認試験が国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の支援により実施された。
希少疾病用医薬品の指定、病態の改善・進行抑制に期待
動物実験(マウス)において、病気を発症していないうちからアセノイラミン酸を与え続けると運動能力、骨格筋の収縮力、血液検査の値、筋病理像などが正常マウスと同じように推移することが明らかになっている。そのため、この病気の患者において、アセノイラミン酸の摂取が病態の改善ないし進行抑制に期待されていた。これらの結果を踏まえ、縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーを治療するための薬としてアセノイラミン酸を実用化できるよう、同社はNCNPおよび東北大学との共同研究により開発を進めてきた。
なお、アセノベルは、2021年2月に希少疾病用医薬品として指定されている。
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・ノーベルファーマ株式会社 プレスリリース