この日の委員会で厚労省は、若年層を中心とした一般薬の濫用による緊急搬送件数の増加を踏まえ、同検討会の取りまとめを公表したことや、学校薬剤師や地区薬剤師会によるOTC薬濫用防止対策事業など濫用防止に向けた取り組みを報告した。
このうち、OTC薬濫用防止対策事業は、2023年度補正予算として1600万円を充て実施し、小学校高学年や中高生を対象とした啓発用資材の作成・提供を行い、薬局と一般消費者向けの普及啓発を進めることとしている。
磯部哲委員長(慶應義塾大学大学院法務研究科教授)は、同検討会の取りまとめで20歳未満には複数個・大容量の製品を販売しないとしていることについて、「20代の濫用事例も増加する中、20歳で区切ることに疑問がある」と指摘した。
これに対して、厚労省は「20歳を境界とする明確なデータはない」としつつ、「20歳未満の身体に与える医薬品の影響を考慮したが、20歳以上の濫用もあるので、薬剤師には販売時に必ず情報提供することとし、販売の食い止めだけでなくゲートキーパーの役割も期待している」と応じた。
戸部依子委員(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会会員)は、「制度運用においては製薬企業の協力も大事だ。1製品当たりの容量、製品設計、販売方法の見直しも検討対象に入るのではないか」と指摘。厚生労働科学研究班による濫用等の恐れのある医薬品に関する販売実態調査の報告に関しては、「データが19年のもので、市場の状況や購入者の認識は変化している。定期的なモニタリングが必要」と求めた。
佐藤嗣道委員(東京理科大学薬学部准教授)は、「国によっては、濫用等の恐れのある医薬品の一部成分を一般薬の対象から外しているので、日本でも検討してほしい」とした。
泉祐子委員(全国薬害被害者団体連絡協議会世話人)は、濫用防止対策事業について「絶対に学ぶべき内容だ。文部科学省と共に推進してほしい」と強く訴えた。