医薬品の承認審査については、海外で臨床開発が先行した医薬品で日本での追加試験を実施した場合、日本人患者へのアクセスに時間を要するケースなどが指摘されている。
こうした状況を踏まえ、▽海外で既に主たる評価対象となる臨床試験が完了している▽極めて患者数が少ないなどにより、日本の承認申請までに国内で追加の臨床試験を実施することが困難▽得られている有効性・安全性にかかる情報等から総合的に日本人におけるベネフィットがリスクを上回ると見込まれること――の全てを満たせば、日本人患者における臨床試験成績がなくとも薬事申請を行うことが適切とした。
迅速な承認制度のあり方については、日本人の臨床試験結果の提出を承認後に求める場合、原則として条件付き承認制度を活用すべきとの考え方を示した。
一方、医薬品の製造方法等にかかる薬事審査等のあり方も見直す。医薬品の製造方法等の変更管理では欧米と同様に、変更案を提出し、短期間の確認期間を経て変更を行うことができる新たな変更カテゴリとして「中等度変更事項」を創設する。制度の詳細やフィージビリティを検討するため、まずは対象を限定して試行的に導入する。
対象は、変更内容のリスクの程度に基づき、▽初回承認申請・一変申請の審査において予め中等度変更事項として特定された事項▽変更が生じた都度の医薬品医療機器総合機構(PMDA)相談で中等度変更事項への該当性を確認された事項――とする。現行の一変申請の1類型とした上で、その審査を短期間で実施する手続きで実施するとした。
一方、承認書上の製造方法等のうち、軽微変更届の対象となっているものも含む重要度の低い事項の記載は、年次報告とすることができる制度を導入することにした。
そのほか、報告書案では希少疾病用医薬品の指定や小児用医薬品の薬事審査、日本人第I相試験の必要性への対応案も示されているが、これらは既に通知が発出され、現場での運用が始まっている。