茨城県と順天堂大学は19日、同大学薬学部に2025年度入学生から設置する「茨城県地域枠」に関する協定を結んだ。不足する病院薬剤師の確保が狙いで、県が月額10万円(私立)の修学資金を学生に貸与し、薬剤師不足地域を中心に計9年間勤務することにより、全額が返還免除となる。
今回の協定締結により、茨城県の地域医療を担う薬剤師を養成するための地域枠を順大薬学部に設け、25年度入学生2人を対象に、在学中に月額10万円(国公立は月額5万円)を貸与する。
茨城県の9医療区域のうち、「つくば」「取手・竜ケ崎」以外の7区域で病院薬剤師が不足している現状から、卒業後に県内の薬剤師不足地域を中心に計9年間勤務することにより、修学資金全額の返還が免除される。健康問題等の除外規定を設け、9年間満期で勤務できない場合は全額返還が求められる。
薬学部における茨城県地域枠の設置は初めてで、5年間は実施する予定。県は24年第1回定例会に関係条例案を上程し、可決される見通しだ。
協定締結後、茨城県の大井川和彦知事は「病院薬剤師不足と地域偏在の解消に向けて同制度を活用し、地域医療を担う薬剤師の養成と定着に取り組むことが重要だ。薬剤師に県の医療に貢献してもらえることは誠に心強い限りで、引き続き病院薬剤師の確保と地域医療の充足に向けて全力で取り組んでいく」と述べた。