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【厚労省検討会議】PPIのOTC化へ前進-否決から6年ぶり議論再開

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2024年03月15日 AM10:09

厚生労働省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」は12日、(PPI)のスイッチOTC化に向けた議論を約6年ぶりに再開した。3成分のOTC化が否決された約6年前の検討会で指摘された「販売体制の不備」については、購入者に短期使用の指導を徹底するなど要望者の適正使用に向けた対応策を評価する意見が出て、一歩前進した格好だ。一方、購入者の安全確保に向けては企業や医療者、販売者など関係者間の連携強化が必要との声が出た。これらを踏まえ、厚労省は一般から意見募集を行う考え。

議論の俎上に上がったのは、エソメプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールナトリウムの4成分。エソメプラゾールを除くPPI3成分は、検討会議でOTC化の可否が議論されてきたが、長期服用による重篤副作用の発現リスク、OTC化後に想定されるインターネット販売では短期使用が担保できないとの課題を指摘する声を踏まえ、2018年12月の検討会議でOTC化が否決された。

21年に検討会議の開催要綱が見直され、検討会の機能がスイッチ化の可否判断から「OTC化する上での課題を整理し、解決策を検討すること」に変更。厚労省は、22年にエソメプラゾールに関する要望、23年にOTC化が否決された3成分の再要望を受理し、この日の会合でこれら4成分に関する意見募集に向けた課題を整理し、解決策を議論した。

要望者は、これまで指摘された課題への対応として、長期使用による副作用等を「胃のお悩み症状相談ガイド」に記載して販売者に伝え、販売者から購入者に短期使用を徹底することでOTC化は可能とした。ネット販売も、主要ドラッグストアの販売サイトで第1類医薬品の注文時の注意事項が明記され、薬剤師が情報提供、適正使用の確認を行うことが明記されていると説明した。

湯浅章平構成員(章平クリニック院長)は「関係者の努力により、少しずつ販売体制が進展している」と評価。「販売履歴を残すことが重要。場合によっては受診勧奨も必要」とした。

宮川政昭構成員(日本医師会常任理事)も「OTC化は全く否定しない」と認めつつ、副作用の発現時は医師が対応する現状から「自己責任ではなく、メーカーと販売者がきちんと責任を負って購入者を守る必要がある」とクギを刺した。

安全性についても、上村直実構成員(国立国際医療研究センター国府台病院名誉院長)が「18年の時点でPPIはかなり安全な薬で、短期使用なら問題ない。働き盛りで病院に行きづらい人への利益は大きく、OTC化している欧米では大きな有害事象は起きていない」と説明するなど、肯定的な意見が複数出た。

これらを踏まえ、笠貫宏座長(早稲田大学総長室参与)は「販売側で安全確保が進歩するなど、6年間で多くのことが進んだ一方、関係者間の連携と購入者のリテラシー向上も重要」とまとめた。

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