日本薬剤師会の森昌平副会長は9日、臨時総会におけるブロック代表質問で、薬価の毎年改定への対応について「医療現場などがこれだけ大きな影響を受けている中、中間年改定を行うのか、どのような範囲で行うのかについて今後も意見を述べていきたい」との考えを示した。中国ブロックの永川賢司氏(鳥取県)に対する答弁。
永川氏は、毎年実施される薬価改定が医薬品の供給不安の一因とし、「このまま薬価が下がり続けると、採算性を理由に製造中止する製薬企業が出て、供給不足が進行する」と指摘。また、来月に薬価改定、6月に診療報酬改定が行われるため、「この2カ月間は実質的にマイナス改定に近いのではないか」と懸念を示し、毎年薬価改定への対応を質した。
これに対して、森氏は「これまでと同様に中間年改定には反対の立場」と日薬の姿勢を改めて示した上で、「6年連続の薬価改定によって医療現場、製薬企業、医薬品卸は非常に大きな影響を受けている中で、中間年改定を行うのか、どのような範囲で実施するのかについて意見を述べていきたい」と応じた。
一方、永川氏は、2024年度診療報酬改定における地域支援体制加算の要件強化と評価見直しにも言及。「薬局機能を相対的に評価できる基準が十分に設定されていない」と訴えた上で、薬学生の実務実習における受け入れ実績と実務実習認定指導薬剤師の取得、地域住民に対する定期的な健康教室の開催など、日常業務外の機能を評価するよう国に要望すべきと迫った。
森氏は、「実務実習の受け入れ薬局となっていても、学生が来ないのであれば公平ではない」と難色を示しつつ、「次回改定に向け、改定結果の検証を中央社会保険医療協議会で行う予定なので、意見を参考にしながら検討していきたい」と回答した。
■副会長は全候補者信任
日薬の臨時総会では副会長候補者選挙も行い、森昌平氏(栃木県)が125票、渡邊大記氏(京都府)が123票、原口亨氏(福岡県)が119票、荻野構一氏(新潟県)が111票、川上純一氏(静岡県)が106票となり、全候補者が全体の過半数を上回り、候補者に選任された。6月の総会で正式承認される見通し。