政府の「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」は7日、日本製薬工業協会からヒアリングを行った。参考人として出席した製薬協の上野裕明会長は、創薬の成功にはアカデミアの研究成果をもとに実用化を目指すプロジェクトを計画、立案、支援する専門人材が求められると提言。実用化研究には公的資金の「選択と集中」が必要とも訴えた。次回会合で中間取りまとめに向けた意見集約を行う。
ヒアリングに出席した上野氏は、創薬力強化に向けた人材について、プロジェクトの創生には最先端のサイエンスと実用化を理解できる人材が求められると指摘。アカデミアの研究成果をもとに実用化を目指せるプロジェクトを計画立案し、専門性の高いリサーチ・アドミニストレーター(URA)が支援することが必要とした。
プロジェクトの実用化には、スタートアップ、ベンチャーキャピタル、支援機関など実用化に対して専門性のある支援人材が求められるともした。
資金面では、実用化に向けた公的資金のあり方について、基礎研究に対しては多様な視点から幅広い支援が必要とし、実用化研究には既存の枠組みを有効活用するほか、産業界の目線も入れて選択と集中を徹底し、選択したものには手厚く支援すべきとした。
構成員の意見交換では、エコシステム構築の観点から「資金の循環もグローバルに動いており、何が起きていて、何が優先度が高いのか検討が必要」「官民で議論する時は、早期の研究開発が早期の製品化につながる。官民の役割分担について議論することも重要」との声や、「どの部分に集中的に対策、資金を投じるか議論すべき」「早期段階で産業界の意見を聞く仕組みが大事。その際に、研究早期段階で産業界の意見を聞き、切る場合は切る『ノーゴー』の判断を行う仕組みを作ってはどうか」などの意見も上がった。