厚生労働省は5日、医薬品医療機器等法に基づき緊急承認していた塩野義製薬の新型コロナウイルス感染症治療剤「ゾコーバ錠125mg」(一般名:エンシトレルビルフマル酸)を通常承認した。1年間の緊急承認期限内に実施された国際共同試験の結果などを多角的に評価し、承認しても差し支えないと判断した。
4日の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会の審議結果を踏まえたもの。ゾコーバは、2022年11月に緊急承認制度が1年間の期限付きで初適用された。
同剤に関しては、緊急承認に当たり、国際共同第II/III相試験の第III相パートから適切に有効性が確認された試験成績を提出するよう承認条件として求められていた。
塩野義は通常承認に向け、日本、韓国、ベトナムの軽症・中等症患者を対象とした第II/III相試験を実施。第III相パートで主要評価項目に設定した5症状に対する改善効果、副次評価項目の抗ウイルス効果が確認されたとした。緊急承認期間中に蓄積された推定90万人以上の安全性データも合わせて提出し、昨年6月に通常承認申請を行っていた。
厚労省は、「緊急承認時は主要評価項目と一部の副次評価項目のみのデータが提出されたが、今回はそれ以外のデータも提出された。多角的に評価した結果、承認に至った」と説明した。
12歳未満のコロナ患者の治療選択肢は限定されており、6歳以上12歳未満の小児の用法・用量設定、有効性・安全性の把握を目的とした治験を行う必要性から、再審査期間を従来の8年から2年延長し、34年3月4日までとした。