調剤業務の外部委託に否定的な薬剤師が約6割に上ることが、厚生労働科学研究「地域共生社会における薬剤師の対物・対人業務の充実に関する調査研究」(研究代表者:入江徹美熊本大学大学院生命科学研究部特任教授)の研究班が実施した調査で明らかになった。委託するメリットを感じないことや、現状で十分対応できていると考えていることが大きな理由で、外部委託に前向きで関心を示す薬剤師は約4割と半数以下にとどまった。
調査は、同研究班が2月時点の薬剤師の意思を把握する目的で実施。薬局や病院に勤務する薬剤師を対象にウェブでアンケート調査を行い、46都道府県の549人から回答を得た。
外部委託したいと思わない理由を複数回答で聞いたところ、多い順に▽委託するメリットを感じない▽現状で十分対応できている▽委託する体制を整えるために業務が増える▽対物業務の効率化になるように思えない――との意見が上がった。
一方、外部委託をしたいと「思う」との回答は13.3%、「少し思う」は29.5%で、約4割の薬剤師は関心を示した。その理由としては、多い順に▽現状で一包化調剤にかなり時間が取られている▽対人業務に時間を作りたい▽人員的に一包化が厳しい▽安全性が担保される――など声があった。
このほか、「価格面を考慮しない場合、調剤業務の一部作業を外部委託する場合と、自薬局に最新の調剤機器を導入する場合どちらが良いと思うか」と聞くと、自薬局への最新の調剤機器導入を選択する薬剤師は75.6%と多数を占め、外部委託は20.0%と少数だった。
同研究班は、昨年3月に調剤外部委託のガイドライン暫定版を策定した。その存在を「知っている」と回答したのは11.3%、「聞いたことはある」は33.2%、「知らない」は55.6%で、半数強がガイドラインの存在を知らない現状も明らかになった。