マンモグラフィ検診は40歳以降から毎年が最善
乳がん検診の開始年齢とその頻度をめぐる論争に終止符が打たれるかもしれない。米ダートマス大学ガイゼル医学部放射線学科教授のDebra Monticciolo氏らによる研究で、40歳から少なくとも79歳になるまで毎年、マンモグラフィ検診を受けることで、乳がんによる死亡が最大数回避され、生存期間も最長になることが示唆された。この研究結果は、「Radiology」に2月20日掲載された。
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米国では、乳がんは女性の死因として2番目に多いが、マンモグラフィ検診が推奨されている女性の中で毎年受診しているのは半数に過ぎない。Monticciolo氏によれば、2009年に米国予防サービス専門委員会(USPSTF)が50歳からの隔年検診を推奨して以降、マンモグラフィ検診の受診率は急落したという。USPSTFは以前から、40代の女性には50歳以前に検診を始めるかどうかは、主治医との話し合いに基づいて個別に判断することを勧めていたが、2023年に、40歳から2年に1度の検診を開始し、健康状態が良好である限り継続するべきだとの新たな勧告を公表した。
今回の研究でMonticciolo氏らは、Cancer Intervention and Surveillance Modeling Network(CISNET)のモデルに基づく解析データを用いて、4つのシナリオの下で二次解析を行い、それぞれのシナリオの転帰を比較検討した。4つのシナリオとは、マンモグラフィ検診を、1)50〜74歳の間に隔年で受診、2)40〜74歳の間に隔年で受診、3)40〜74歳の間に毎年受診、4)40〜79歳の間に毎年受診、であった。
主な結果は以下の通りである。
・40〜79歳の間に毎年検診を受けることで死亡リスクは41.7%低下する。
・40〜74歳の間に隔年で検診を受けることで死亡リスクは30.0%低下する。
・40〜79歳の間に毎年検診を受けることで、回避可能な乳がんによる死亡数が最大となり(1,000人当たり11.5人)、獲得生存年数も最長となる(1,000人当たり230年)。
・40〜79歳の間に毎年検診を受けた場合には、4つのシナリオの中で偽陽性率が最も低く(6.5%)、がんの生検で良性と判定される割合も最も低かった(0.88%)。
・マンモグラフィ検診のリコール(再勧奨)率は10%以下であり、3Dマンモグラフィ検診を毎年受けることで6.5%に低下する。
Monticciolo氏は、「マンモグラフィ検診に伴うリスクは、ほとんどの女性にとって致命的ではなく、対処可能なものだが、進行乳がんはしばしば致命的だ。乳がんは早期に発見されれば治療が容易であり、余分な手術や化学療法をせずに済む。それゆえ、がんを早期に発見する方向へシフトするのは良い考えであり、マンモグラフィ検診はそのためのものなのだ」と話す。
またMonticciolo氏は、40〜79歳の間の毎年のマンモグラフィ検診は、「女性の命を大切にすることにつながる。プライマリケア医が、検診のリスクは管理可能であり、検診を受けることで得られるベネフィットは多大であると理解することを期待している」と話している。
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