クロルヘキシジン配合マウスウォッシュによるうがい、2型糖尿病への効果は?
大阪大学は2月19日、2型糖尿病患者がクロルヘキシジン配合マウスウォッシュを用いてうがいを行うことで、口腔内に存在する悪性度の高い歯周病菌種が減少するとともに、血糖コントロール状態が改善することを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院歯学研究科口腔全身連関学共同研究講座の又吉紗綾特任講師(常勤)、伊藤直人招へい教員、仲野和彦教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Scientific Reports」に掲載されている。
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歯周病は歯茎に炎症が生じる疾患だが、近年、歯周病に罹患することで糖尿病にも悪影響が生じることが明らかになった。歯周病は歯周病菌によって引き起こされることから、歯科医院での歯周病の治療や、歯磨きやうがいなど家庭での口腔ケアによって歯周病菌を減少させることで歯周病を抑制できることが知られている。
これまでに、歯科医院での治療によって歯周病の改善だけでなく、糖尿病患者の血糖コントロール状態も改善することが報告されていた。一方で、2型糖尿病患者がクロルヘキシジン配合マウスウォッシュを用いたうがいを行うことによって、口腔及び全身の状態にどのような影響を及ぼすかについては明らかにされていなかった。
うがいで悪性度の高い歯周病菌が減、血糖コントロール状態が改善
研究グループは、大阪府内の糖尿病クリニックを受診中の2型糖尿病患者173人に対して、半年間は水道水でうがいを、その後半年間はクロルヘキシジン配合マウスウォッシュを用いてうがいを行ってもらい、歯周病菌種数の変化と血糖値の変化を評価した。
その結果、クロルヘキシジン配合マウスウォッシュを用いてうがいを行うことで、口腔内に存在する悪性度の高い歯周病菌種が減少するとともに、比較的若い2型糖尿病患者において、血糖コントロール状態が改善することが明らかになった。
口腔内の環境改善だけでなく、歯周病に惹起される血糖値上昇の改善にもつながる可能性
クロルヘキシジン配合マウスウォッシュを用いたうがいは、家庭で行うことのできる口腔ケアの中でも簡便であることから、日々の習慣に取り入れやすいと言える。
「本研究成果を啓発することにより、2型糖尿病患者が歯科医院でのプロフェッショナルケアに加えて、クロルヘキシジン配合マウスウォッシュを用いたうがいを積極的に日常の口腔ケアへ取り入れることで、歯周病の改善だけでなく、歯周病によって惹起される血糖値上昇の改善にもつながることが期待される」と、研究グループは述べている。
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・大阪大学 ResOU