口腔とサルコペニアの関連報告は増えているが、調査結果に一貫性なし
岡山大学は2月22日、自立高齢者において、舌の筋力が強いと栄養状態が良好であり、サルコペニアの者が少ないことを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医歯薬学総合研究科の稲田さくら大学院生、同大学術研究院医歯薬学域予防歯科学分野の江國大輔教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「口腔衛生学会雑誌」に掲載されている。
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サルコペニアとは、加齢に伴う筋肉量の減少と筋力の低下を特徴とする症候群。その進行により、身体機能の低下、QOLの低下、社会活動の妨げに関わるとされている。サルコペニアに関連する因子として、加齢、低栄養、抑うつ、全身疾患が挙げられる。近年、口腔とサルコペニアとの関連の報告が増えている。しかし、多くの先行研究において、サルコペニアを一部の診断項目で評価したり、口腔関連の調査項目が少なかったりしており、調査結果に一貫性がなかった。
年齢の影響は受けるが、舌圧弱の人は栄養状態不良・サルコペニア「多」
今回実施した横断調査の対象は、岡山大学病院歯科・予防歯科部門を受診した60歳以上の患者。年齢、性別、サルコペニア、口腔状態、栄養状態、精神・心理状態および全身疾患を調査した。特に、「サルコペニア」と「口腔関連」の項目を詳細に調べた。
これらのデータを元に分析を行った結果、年齢の影響は受けるが、舌圧が弱い人では栄養状態が不良であり、サルコペニアの者が多いことがわかった。
舌筋力の維持・改善で、サルコペニア予防の可能性
今回の研究はあくまで横断調査だが、舌の筋力が衰えていると、サルコペニアのリスクが高まる可能性がある。舌の筋力を維持・改善できる適切な介入を行うことにより、サルコペニアを予防できる可能性がある。今後、さらなる研究が望まれる。将来、適切な介入方法が見つかれば、身体機能の低下などを防ぎ、健康寿命の延伸に寄与する可能性がある、と研究グループは述べている。
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