厚生労働省は21日、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインに関するQ&A」を発出した。医師・薬剤師から他社製品に関する情報や自社製品と他社製品との比較情報を求められた場合には、情報提供先を要求者に限定することなど一定の条件を満たせば、「情報提供が可能」との見解を示した。製薬企業が医療関係者に他社製品との比較情報を提供するに当たっては、情報提供内容がガイドラインに抵触するか企業の主観に委ねられていた側面があったため、Q&Aで考え方を示した。自社製品の適応外使用に関する情報を求められた場合でも条件を満たせば情報提供することを認める。
ガイドラインの販売情報提供活動の原則では「他社製品を誹謗、中傷すること等により、自社製品を優れたものと訴えること」が禁止されている。ただ、厚労省は医師・薬剤師からの求めに応じて、他社製品に関する情報や自社製品と他社製品との比較情報を提供する行為自体は、「他社製品等の誹謗等の禁止規定には抵触しない」とし、容認する方針を打ち出した。
他社製品との比較情報を提供するに当たっては、▽情報提供する内容は要求内容に沿ったものに限定すると共に、情報提供先は要求者に限定すること▽医療関係者・患者等から情報提供を求められていないにもかかわらず、求められたかのように装わないこと▽提供する情報は、虚偽・誇大な内容であってはならず、科学的・客観的根拠に基づき正確なものでなければならないこと。また、他社製品にとって不利となる情報のみを恣意的に選択しないこと――などの条件を全て満たす必要がある。
医師・薬剤師から自社製品と他社製品との比較情報を求められた場合、添付文書、インタビューフォーム、治療ガイドライン等に記載されている内容を提供可能としたほか、有効性・安全性に関する比較情報も出典を明らかにすれば提供を認める。一方、文献等にはなっていない学会発表内容については、「提供不可ではないが、エビデンスが十分に確立されているとは言えないことを明確に説明した上で情報提供すること」とした。
医師・薬剤師からの求めによらない他社製品との比較情報の提供、自社製品の適応外使用に関する情報を求められた場合も「提供不可とするものではない」と明記した。