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間質性肺疾患、予後予測因子として「軽度の肺血管抵抗上昇」を発見-名大ほか

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2024年02月26日 AM09:10

間質性肺疾患において、肺血管抵抗は予後予測因子となり得るか?

名古屋大学は2月16日、新たに診断された間質性肺疾患(ILD)の患者における肺血管抵抗()の軽度上昇が高い死亡率と関連していることを新たに発見したと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科呼吸器内科学講座の佐藤智則大学院生、寺町涼病院助教、阪本考司病院講師、石井誠教授、同大医学部附属病院メディカルITセンターの古川大記副センター長、公立陶生病院の近藤康博副院長らの研究グループによるもの。研究成果は、「Thorax」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

肺高血圧症(PH)は肺血管の異常を示す疾患であり、)とPVRの上昇が特徴である。これまで一部のILDでMPAPの軽度上昇が予後に関連することが報告されたが、さまざまなILDにおけるPVRの軽度上昇の臨床的意義は十分に解明されていなかった。これは、国内外のほとんどの病院では、ILD診断時にMPAPとPVRを測定するための右心カテーテル検査が実施されておらず、その実態が明らかになっていないためである。

診断時のPVR、2WU超える場合にMPAPと関わらず死亡率高

この研究では、2007年から2018年までにILDと診断された患者における、診断時のMPAPとPVRの臨床的意義を調査した。肺高血圧症ガイドライン(2022年)に基づくMPAP(20mmHg、25mmHg)とPVR(2 Wood Units:WU)のカットオフ値で患者を分類して、生存率をLog-rank解析した。その結果、PVRが2WUを超える場合、MPAPの値に関わらず高い死亡率と関連していた。

また1年ごとの死亡率に対する予後予測能を解析した結果、PVRはMPAPよりも一貫して良好な予後予測能を示した。

PVRの至適カットオフ値は2.2WU、既存の予後因子と独立して予後を予測可能

Coxハザード解析の結果、PVR>2WUは、既存のILDの予後因子であるILD-GAPindexと独立した予後予測因子であることがわかった。さらに、これまで重要とされてきたMPAPではなく、PVRが有意に死亡と関係していた。

さらに、ILD全体の死亡率を予測するPVRの至適カットオフ値は2.2WUであることがわかった。

この研究結果は、新たに診断されたILDの患者におけるPVRの軽度上昇は、MPAPに関わらず高い死亡率と関連していることを示唆している。「今後の研究でILD診断時のPVRの重要性をさらに詳しく調査し、ILD診断時に右心カテーテル検査を実施すべき患者の選択や、ILDの病態解明、さらにILDの患者の管理や治療に対する新たなアプローチを模索する必要があると考えられる」と、研究グループは述べている。

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