日本薬剤師会の山本信夫会長は14日に記者会見し、中央社会保険医療協議会による2024年度診療報酬改定案の答申に言及し、地域医薬品供給拠点の体制確保や職員の賃上げなどに対応するための調剤基本料の引き上げと合わせ、地域支援体制加算の要件見直しや報酬体系の組み換えが行われることについて、「点数はともかく、極めて概念が変わった改定だった。仕事をしている部分は評価しつつ、基本的な体制整備を整理するか明確にする新たな方向性を示した点で、今までの改定とは違う」と受け止めた。
調剤報酬改定では、薬剤師の賃上げの対応やかかりつけ機能の強化、在宅医療の推進などのメッセージが並んだ。山本氏は「個々の点数に一喜一憂しないで、全体の改定の構成を見ると面白い改定だった。賃上げや物価上昇にどう対応するかという命題に診療報酬で計算し、取りこぼしがないように評価をつけながら、薬剤師がした仕事をきちんと評価することを別のところで整理されている」との認識を示した。
その上で「点数が取りにくくなったところ、点数が小さくなったところがあるかもしれないが、薬剤師として基本的な立場に立って見ると、プラスになっていると思う。今回は厳しく見えるかもしれないが、算定要件を増やしながら、報酬体系の組み換え、後発品も含め手を打っている。次回改定で芽が出る部分もあるのではないか」と語った。
一方、地域支援体制加算の施設要件などでかかりつけ薬剤師機能を評価する体系となったことについては「地域の中でかかりつけ薬局やかかりつけ機能が市民権を得て、評価されたのではないか」との見方を示した。各調剤基本料を3点引き上げることには「(シミュレーション結果では)賃上げに必要な基本料の上乗せが0.7点で、その4倍以上なので評価できる」と満足感を示した。
また、中医協委員を務めた森昌平副会長も「賃上げ分を調剤基本料につけるのが最大の使命だった。賃上げだけでなく、薬局の機能評価を含めての3点であるので、きちんとやれた」と胸を張った。
基本料については、「医薬品供給拠点としての役割を発揮するための体制評価を一丁目一番地と考えていた。日薬の政策提言でも重要性を認識していたので、その部分を充実させたい、そのために基本料の体系を変えたかった」と語った。