2024年度診療報酬改定の答申を受け、中央社会保険医療協議会の支払側委員は14日に記者会見し、改定議論を総括した。鳥潟美夏子委員(全国健康保険協会理事)は、病院薬剤師等の賃上げ評価として「外来・在宅ベースアップ評価料」が新設されたことについて、「確実に賃上げが実施されたか丁寧に検証する必要がある」とクギを刺した。調剤報酬で処方箋受付回数が多い薬局や同一敷地内薬局に対する評価が厳格化されることに対しては、「地域における薬局改革が従来以上に問われる」との認識を示した。
支払側委員を代表して鳥潟氏は、薬価制度改革にも言及し、「革新的医薬品のイノベーションへの十分な配慮、後発品の安定供給への確保に向けてメリハリをつけた見直しが行われた。企業指標の導入については、後発品の安定供給確保に向けた第一歩。早期に公表すると共に、追加項目の有無を検討し、今後の改定に生かしてほしい」と注文をつけた。
佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)は、「ドラッグラグ・ロスの解消に向け、評価のあり方を引き続き検討することが附帯意見に盛り込まれた。今後の議論で中間年改定のあり方も含めて必要な見直しを求めていきたい」とした。
また、長期収載品の保険給付が見直され、10月から選定療養が導入されることについて、鳥潟氏は「薬価制度におけるイノベーション推進や安定供給確保の改革と共に、一つの転換点となる」と評価した。
松本真人委員の代理として出席した三宅泰介氏(健康保険組合連合会政策部長)も「様々な形で保険給付範囲のあり方を効率的・効果的にし、重点化しなければ医療費の動向に持ちこたえられないと訴えてきたので、導入は非常に大きな転換点」と捉えた。
一方、高町晃司委員(日本労働組合総連合会患者本位の医療を確立する連絡会委員)は「これまで使用していた医薬品が長期収載品のために保険外となるのは患者の不安につながる懸念もある。患者に十分に周知した上で進め、患者の安全を確保してもらうことが最も大事」と指摘した。