東京都は、2024年度から5年間の「東京都薬物乱用対策推進計画」の素案を公表した。若年層を中心に市販薬の乱用が拡大していることを受け、対策強化に向けた記載を新たに盛り込む。小学生などの低年齢層に向けた適正使用・乱用に関する啓発資材の作成のほか、薬局等への販売ルールの周知や適正販売の監視指導を強化する方向性を示した。
同計画は、都や国の関係機関が実施する薬物乱用防止対策の基本的な方向性を示すもので、2024年度から5年間適用される。薬物乱用対策の三つの柱である啓発活動の拡大と充実、指導・取り締まりの強化、薬物問題を抱える人への支援をもとに、9のプラン、23のアクション、97の取り組みを設定。昨今の薬物情勢や国の施策の方向性を踏まえて内容を見直した。
今回の改定では、10代・20代の若い世代を中心に市販薬の乱用(オーバードーズ)が拡大していることを受けて、新たに「市販薬乱用対策の充実」に関する記載を盛り込んだ。
具体的には、医薬品の適正使用や市販薬の乱用防止に関する啓発に取り組む旨を記載。小学校など早期から医薬品の効果、副作用、正しい使用方法が学べるよう、これまで大麻等の違法薬物に関する内容が中心であった研修会や啓発資材について、新たに医薬品の適正使用・市販薬乱用防止に関する内容を追加する。
オーバードーズの背景には、青少年特有の様々な悩みや生きづらさがあると考えられているため、薬物を使用する前に精神保健福祉センターなど専門相談機関に早めに相談できるよう連携を強化するなど、心情に配慮した取り組みも実施していく。
さらに、乱用等の恐れのある医薬品の範囲が昨年4月に拡大されたことを踏まえ、薬局等の販売業者に対して、販売ルールの周知や適正販売の監視指導を強化していく方向性も示した。
市販薬乱用対策のほかには、▽若年層の大麻乱用拡大を踏まえた対策の充実▽密輸・密売手法の巧妙化への対応▽再乱用防止に向けた対策の充実――についても、昨今の情勢を踏まえて記載を増やした。
素案は、今月中に薬物乱用推進本部本部会で審議し、了承されれば3月中に公表する流れとなる。