日本病院薬剤師会は、回復期病棟に従事する薬剤師が十分に活躍できるよう業務のあり方を示した「回復期病棟における薬剤師のための関わり方ガイド」を作成した。回復期病棟は、薬剤師にとって診療報酬上インセンティブのない病棟区分であり、一般病棟で行われている薬剤管理指導業務の多くが実施できていないのが現状。ガイドでは、回復期病棟における薬剤師と多職種との関わり方に加え、リハビリテーション栄養やリハビリテーション薬剤、ポリファーマシーとの関わり方などを説明している。
ガイドでは、回復期病棟の薬剤師が医師に対して行うべき重要な関わりを「処方提案」と規定。特に薬学的管理や薬物療法に関する説明は、処方提案につながる業務とし、開始用量と維持用量が異なる医薬品、投与期間に制限がある医薬品、急性期病院で導入された睡眠導入薬、ポリファーマシーなどを挙げた。
回復期病棟では医師のみならず、看護師やリハビリテーション専門職のセラピストなどとも連携することが必要とした。
疾患別では、脳血管障害、運動器疾患、廃用症候群を挙げ、中でも運動器疾患については、患者のADLを把握しながら服薬支援を行うことが必要なため、セラピストとの協働が必要とした。
そのほか、リハビリテーションと薬物療法を一緒に考え、フレイル高齢者の機能や活動、社会参加、QOLを最大限高めるリハビリテーション薬剤と、栄養障害やサルコペニア、栄養素摂取の過不足の有無と原因の評価、診断、ゴール設定を行った上でフレイル高齢者の機能や活動、社会参加、QOLを最大限高めるリハビリテーション栄養に薬剤師が関わるよう促した。
薬剤師が回復期病棟に介入するタイミングは、転院時、転棟時、入院時、入院中、退院時の五つを挙げた。急性期からの転院・転棟時と在宅からの入院時では、情報収集方法や把握・検討すべき事項が一部異なると指摘。転院・転棟時には、取得情報により急性期での治療状況を明確にし、急性期で開始・中止となった薬剤を含めた服用薬の継続可否について検討を行う必要があるとした。
在宅からの入院時には不足する情報を積極的に収集することで在宅療養中の治療状況を把握し、漫然投与されている薬剤やPIMsについて検討を行う必要があるとした。