この日の検討会では、少量多品目を解消するため、製薬企業の再編や品目集約に向け、これらの取り組みが独禁法上問題があるかどうか同法を所管する公取委からヒアリングを行った。
独禁法は事業活動を行う上で企業等が守るべき基本ルールを示しており、市場における競争を実質的に制限する企業結合(株式保有・合併・分割など)を禁じている。公取委の「企業結合ガイドライン」に基づき、需要者が十分な選択肢を確保できなくなる状況が生じていると判断された場合に違反としている。
ただ、同指針は「複数企業の活動により効率的な企業でも採算が取れないほど市場規模が十分に大きくない場合、企業結合により1社となっても競争を実質的に制限することにはならない」とも記載。公取委は後発品業界の企業結合事案でもこれまでに結合が禁止されたケースはなく、問題なく企業結合が実施されたと説明した。
また、後発品の供給不足など「緊急時の安定供給対応策」に対する考え方も公表。供給不足が発生した企業から収集した情報をもとに、行政機関が代替製品を製造する企業に医療機関への供給を依頼するなど、生産数量の調整を行う場合は独禁法に反しないとした。
企業や業界団体が「緊急に必要な期間」において生産数量の調整を行う場合も同様としたが、必要な範囲を超えて価格や生産数量等の情報を共有し、共同して価格等や取引先を決定・指示した場合は、同法に反する恐れがあるとした。
委員からは「独禁法のハードルが企業再編に前向きになれない元となっている可能性がある。現行法で対応できることを具体的に示すことが必要」などの声が出て、厚労省は「業界の意見を聞きつつ、具体的事例と現行法の関係などを個別に示し、何ができるか公取委と相談しながら示していきたい」と応じた。
一方、品目数の適正化に向けては後発品収載時に全規格を取り揃える「規格揃え」の見直しを検討することを論点案に盛り込んだ。
日本ジェネリック製薬協会は、需要が少ない非汎用規格に関しては、収載時は全社で揃えるものの、一定期間の販売後は販売数量の多い企業に集約し、その際はシェアの少ない品目を整理して販売継続を担う企業が不利にならない制度を検討すべきと提案した。
今後、非汎用規格の製造を行う企業の取り扱いなども含め、汎用規格と非汎用規格の規格揃え原則のあり方も検討する。