テレビ・ビデオゲームなどの使用は小児肥満と関連、スマホは?
新潟大学は1月29日、長時間のスクリーンタイムが、女子において小児肥満と関連していることが明らかになったと発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科血液・内分泌・代謝内科分野研究室主任の曽根博仁教授、同大大学院医歯学総合研究科博士課程の池田和泉大学院生、藤原和哉特任准教授ら、新潟県阿賀野市と三条市の共同研究グループによるもの。研究成果は、「Endocrine Journal」にオンラインに掲載されている。
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小児肥満は成人肥満へ移行しやすく、2型糖尿病や高血圧などの生活習慣病へとつながることから、小児期の生活習慣は重要だ。これまでにも、テレビ視聴やパソコン、ビデオゲームの使用は小児肥満と関連することが報告されているが、スマートフォンに関する研究は多くない。日本国内でも、小中学生に対して生活習慣調査を含む詳細な健康診断は行われておらず、スマートフォンなどのスクリーンタイムが小児肥満と関連しているかは十分に解明されていなかった。
小5〜中2の2,242人対象、スマホ・それ以外のスクリーンタイムと肥満の関連を検討
同大研究室と新潟県阿賀野市、三条市は、市民の健康寿命延伸を目的とした共同研究プロジェクトの一環として小中学生生活習慣病予防事業を実施しており、小学5年生〜中学2年生に対して血液検査や血圧測定を含む健康診断や、身体活動や睡眠、食事などの生活習慣実態調査を実施してきた。
今回の研究では、2018〜2019年に新潟県阿賀野市および三条市の小中学校に通っていた小学5年生〜中学2年生2,242人(女子1,278人)を対象に、スマートフォンおよびスマートフォン以外のスクリーンタイムが肥満と関連するかを横断的に検討した。スクリーンタイム、睡眠時間などの生活習慣はアンケートで調査し、健康診断の身長と体重から、国際肥満タスクフォースの性別・月齢別カットオフ値を用い肥満を診断した。身体活動量は国際標準化身体活動質問票(IPAQ)、食事摂取量は簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)15y、にて調査した。
女子のみ、スマホ・それ以外の両スクリーンタイムで相加的に肥満と関連
その結果、男子14.5%、女子9.9%が肥満と診断された。また、女子において、各スクリーンタイムの最低カテゴリと比較して、全スクリーンタイム4時間以上5時間未満、スマートフォン3時間以上4時間未満、スマートフォン以外2時間以上のグループでは、それぞれ約3倍、統計学的有意に肥満と関連していた。一方、男子ではそのような傾向は見られなかった。
さらに、スマートフォンとスマートフォン以外のスクリーンタイムを組み合わせた分析においても、女子のみで、両スクリーンタイムは相加的に肥満と関連する結果が得られた。具体的には、スマートフォン3時間未満かつスマートフォン以外2時間未満群と比較して、スマートフォン3時間以上またはスマートフォン以外2時間以上のいずれか片方、または両方同時に該当すると肥満のリスクは、それぞれ約3倍、約7倍に有意に増加した。
スクリーンタイムが長い+身体活動が少ないor睡眠不足で女子の肥満リスク高まる
さらに、女子において、スクリーンタイム全体またはスマートフォンのスクリーンタイムが長いことと、身体活動が少ないか、睡眠時間の不足が重なると、肥満のリスクがさらに高まった。しかし、全スクリーンタイムが4時間以上5時間未満またはスマートフォンのスクリーンタイム2時間以上の場合は、一日の身体活動(運動や日常生活で身体を動かす時間)が60分以上または睡眠時間が8.5時間以上を確保できていれば、肥満のリスクは上昇していなかった。
一定以上の身体活動や睡眠の確保で、肥満リスク軽減の可能性
今回、スクリーンタイムと肥満に関する分析を行い、女子のみにおいてスマートフォン、スマートフォン以外のいずれについても長時間のスクリーンタイムが肥満と関連することが判明。また、スマートフォンのスクリーンタイム3時間以上かつスマートフォン以外のスクリーンタイム2時間以上の女子では、どちらにも該当しない女子と比較として、肥満を有するリスクが約7倍高かったことが判明した。同時に、一定以上の身体活動や睡眠時間を確保することで、肥満リスクを軽減できる可能性も示唆された。今後、同研究成果を、広く児童生徒の生活指導に活かしていく予定だ、と研究グループは述べている。
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