日本医療研究開発機構(AMED)審議会は24日、2025年度から5カ年の第3期中長期目標策定に向けた検討を開始した。委員からは組織内人事に関する意見が相次ぎ、現役引退後の人材が多いプログラムディレクター(PD)の質見直しや、組織内に経験を蓄積させる必要からプロパー職員育成の重要性を訴える声が出た。
AMEDでは、PDが研究開発提案の評価や担当分野の専門的な調整を行っているが、荒井秀典委員(国立長寿医療研究センター理事長)は、「スーパーバイザー、オフィサーは現役の人、PDは現役を退いた人が多い。アップデートされた知識を持つ人がPDを務め、ジェンダーに考慮した採用も検討すべき」と注文をつけた。
古江美保委員(セルミミック代表取締役)もPDについて「考え方が古く、自身の成功体験による評価で判断している。可能な限り現場の意見を聞き、研究者の意見を尊重してロジカルに評価すべき」と述べた。
松尾真紀子委員(東京大学大学院公共政策学連携研究部特任准教授)は、2~3年で外部に異動する職員が多いと人事面の課題を指摘。「組織内に経験を蓄積して専門的、戦略的な支援を実施していくためには、生え抜きや中途採用でも任期のない人の割合を高めることが大事だ。全体を俯瞰できるゼネラリスト、特定分野をフォロー、分析するスペシャリストのプロパー育成も重要」と述べた。
大学など研究組織で研究資金獲得や産学連携等を通じて研究活動の活性化やマネジメントを行うリサーチアドミニストレーター(URA)に言及した宮浦千里委員(中部大学総長補佐)は、「AMED主体でメディカル分野に精通したURAを全国的に育成し、配置する方法も良いのではないか」と提案した。
また松尾氏は、研究開発支援について「単なる資金配分ではなく、真の支援を強調すべき。より長期的、俯瞰的視点から技術の社会的影響を踏まえ、主体的で戦略的支援を実施してほしい」と述べた。
渡部眞也委員(マニー取締役)も「もう少し踏み込んでAMEDが研究開発やテーマ創出をリードする役割を担うほうが良いのではないか」とした。