医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 衝撃波治療に「変性半月板の保護効果」があることを確認、動物モデルで-群大

衝撃波治療に「変性半月板の保護効果」があることを確認、動物モデルで-群大

読了時間:約 1分24秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2024年01月25日 AM09:10

変性した半月板に対する有効な治療法は存在しない

群馬大学は1月23日、動物モデルを用いて膝関節の機能に重要な半月板の変性に対する衝撃波治療の効果を検証し、衝撃波治療が半月板の変性の進行を抑制することを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科整形外科学講座(筑田博隆教授)、応用生理学講座(鯉淵典之教授)の研究グループによるもの。研究成果は、「The American Journal of Sports Medicine」にオンライン掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減り膝関節の骨が変形して痛みが出る病気。大規模調査(ROAD study)により、日本には推定2530万人の患者がいると考えられている。膝関節の中で半月板は衝撃吸収などの重要な役割を担っているため、半月板の変性と損傷は変形性膝関節症の発症と進行に関係している。しかし、現在のところ変性した半月板に対する有効な治療法はない。

変形性膝関節症を発症し、痛みが強い場合の治療法には人工膝関節置換術がある。厚生労働省のデータによると、人工膝関節置換術は年間9万件以上行われており、医療経済に大きな影響を与えている。

体外衝撃波治療が動物モデルの半月板変性変化を抑制、軟骨修復因子の発現を活性化

そこで研究グループは今回、前十字靭帯損傷によって変性が生じた半月板に対する「体外衝撃波治療」の効果を検証した。

その結果、衝撃波治療を行うことで、4週と12週において動物モデルの半月板の変性変化が抑制されることが判明。また、その過程で衝撃波治療は半月板における軟骨修復因子の発現を活性化することも明らかになった。

半月板の変性に対する新規治療法の確立につながる可能性

衝撃波治療は、筋肉や腱膜への治療効果があり、軟骨に対しては保護効果がある。しかし、半月板の変性に対する衝撃波治療の効果については不明だった。

「3年間かけて動物実験を行い、前十字靭帯損傷後の変性半月板に対する衝撃波治療の有効性を世界に先駆けて示した本研究成果は、半月板の変性に対する新たな治療法の確立に向けた重要なステップになることが考えられる」と、研究グループは述べている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • トイレは「ふた閉め洗浄」でもエアロゾルは漏れる、その飛距離が判明-産総研ほか
  • AYA世代の乳がん特異的な生物学的特徴を明らかに-横浜市大ほか
  • 小児白血病、NPM1融合遺伝子による誘導機序と有効な阻害剤が判明-東大
  • 抗血栓薬内服患者の脳出血重症化リスク、3種の薬剤別に解明-国循
  • 膠原病に伴う間質性肺疾患の免疫異常を解明、BALF解析で-京都府医大ほか