今回の改正は、「創薬力の強化・安定供給確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」における検討結果を踏まえた対応。
輪切り申請とは、例えば「対象疾患の患者数は5万人以上であるものの、医薬品による治療が必要となる患者数は5万人未満であると推定される場合」など、医学薬学上の明確な理由なしに「重篤な」等の接頭語あるいは、ただし書きを追加することにより、患者数を指定基準である5万人未満として計算するもの。通知では、希少疾病用医薬品の指定対象となる疾患の範囲について「輪切り」申請は認めないことを明記した。
一方、本来は開発支援の対象となるべき疾患領域にも関わらず、指定対象から外れる事態を避けるため、年齢層(小児を含む)、治療体系、治療ライン、リスク分類、投薬の必要性を含め、医学薬学上の適切な根拠に基づき、高いアンメットメディカルニーズがありつつも開発が進んでいない範囲に限定した対象疾患に対して製造販売しようとする場合は「輪切り」に当たらないとした。ただ、疾患全体の患者数が5万人を大幅に超える場合、患者数は複数の根拠に基づいて慎重に確認することとした。
医療上の必要性に関する要件も明確化し、「対象疾患の重篤性」および「対象疾患に対する有用性」に該当するなど、特に医療上の必要性の高いものとした。
対象疾患の重篤性として、重篤な疾患(致死的または著しく生活の質を落とす状態が長期的に続く)または、国民の生命・健康に重大な影響を与える恐れのある感染症とした。
対象疾患に対する有用性については、既承認薬がないこと、既承認薬による治療を行っても予後不良で複数の選択肢が臨床的に必要とされていることに該当することなどを挙げた。
開発の可能性に関する記載も詳細に示し、国内で開発を行うことができる体制・計画を有していることを求めた。具体的には、承認申請に至るまでに実施予定の臨床試験の概観が明らかになっていること、少なくとも初めて人に投与する臨床試験を実施するために必要な非臨床試験を概ね完了していることを求めた。
新たに、優先審査・優先相談の取り扱いを記載。優先審査等の対象は、当面の間、指定基準を満たしたものに限定する。ただ、優先審査等に当たらないとした品目のうち、開発の進展と共に優先審査等に該当すると考えられるものについては、PMDAの相談制度を活用することで優先審査等の適用を受けることが可能になるとした。
ただ、優先審査等の取り扱いに関しては、改正の適用から1年後をメドに、指定件数等を踏まえて見直しを検討するとした。