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汎発性膿疱性乾癬、新たにMEFV遺伝子バリアントの関与を発見-名大

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2024年01月16日 AM09:10

6種類の疾患関連遺伝子が知られるGPP、これらにバリアントを持たない患者も多い

名古屋大学は1月11日、(generalized pustular psoriasis:GPP)の疾患関連遺伝子として、MEFV遺伝子を世界で初めて報告したと発表した。この研究は、同大医学部附属病院皮膚科の吉川剛典病院助教、大学院医学系研究科皮膚科学分野の秋山真志教授、武市拓也准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of the American Academy of Dermatology」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

乾癬は慢性の炎症性皮膚疾患で、GPPは乾癬の一亜系に分類される。GPPは厚労省の難治性疾患克服研究事業における臨床調査研究対象疾患の一つで、小児期と30歳代に発症することが多い疾患である。また、GPPは指定難病の対象疾病で、令和3年度の特定医療費受給証所持者数は約2,000人である。GPPの患者では、発熱とともに全身の皮膚が潮紅し、無菌性膿疱が多発し、再燃と寛解を年余にわたり繰り返す症例が多く見られる。経過中に全身性炎症に伴う臨床検査異常を示し、しばしば粘膜症状、関節炎を合併するほか、重篤な合併症によりまれに死に至ることもある。病理組織学的には、皮膚表面の表皮における、多数の好中球から構成される膿疱を特徴とする。

2011年にIL36RN遺伝子がGPPの疾患関連遺伝子と報告されてから、これまでに計6種類(IL36RN、CARD14、AP1S3、SERPINA3、MPO、BTN3A3)の遺伝子が疾患関連遺伝子として報告され、病態解明が徐々に進んでいる。しかし、これらの遺伝子変異にバリアントを持たない患者も多く、さらなる疾患関連遺伝子が模索されてきた。

GPP患者24例の解析から、2つのMEFV遺伝子バリアントが高頻度と判明

MEFV遺伝子は代表的な自己炎症性疾患である家族性地中海熱の疾患関連遺伝子であり、パイリンインフラマソームの構成タンパク質であるパイリンをコードしている。家族性地中海熱では、MEFV遺伝子にバリアントがあることで、パイリンインフラマソーム関連の炎症が異常亢進し、さまざまな組織に好中球が集まる(遊走する)と考えられている。

研究グループは、日本人GPP患者24例を全国から集め、網羅的遺伝子バリアント解析を行い、患者集団での、MEFV遺伝子バリアントを持つ頻度を一般人における頻度と比較した。その結果、GPP患者集団では、2つのMEFV遺伝子バリアント(p.Arg202Glnとp.Ser503Cys)を持つ頻度が高いことがわかった。日本人のGPP患者の約21%がp.Arg202Glnを、約13%がp.Ser503CysのMEFV遺伝子バリアントを持っていることが示された。

GPP以外の膿疱性皮膚疾患でも、2バリアントは高頻度

さらに、この24例に加え、その他の無菌性膿疱を形成する膿疱性皮膚疾患(急性汎発性発疹性膿疱症、稽留性肢端性皮膚炎など)を加えた34例(GPP24例+GPP以外の膿疱性皮膚疾患10例)でも同様の解析を行ったところ、この集団でも、上述の2つのMEFV遺伝子バリアントを持つ頻度が高いことがわかった。この研究結果をもとに研究グループは、GPPの疾患関連遺伝子として、MEFV遺伝子を世界で初めて報告した。また、GPP以外の無菌性膿疱を形成する疾患との関連性も示唆された。

MEFV遺伝子変異を持つ患者、パイリンインフラマソーム経路標的の治療法が有効な可能性

今回の発見により、MEFV遺伝子変異を持つGPP患者は、パイリンインフラマソーム関連の炎症経路の異常とその結果としてのインターロイキン1βやインターロイキン18の産生の上昇などの発症メカニズムを有する可能性が示された。「今回の研究結果から、MEFV遺伝子変異を持つGPP患者では、MEFV遺伝子バリアントが関与するパイリンインフラマソーム関連の炎症経路を標的とした抗炎症療法の有効性が期待される」と、研究グループは述べている。

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