厚生労働省は12日の「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」で、バイオシミラーの先行品との同等性検証試験について、民族差が試験結果に影響しないと考えられる場合は日本人データがなくても受け入れ可能となるよう現行の取り扱いを見直す考えを示した。
バイオシミラーをめぐっては、先行品との同等性を検証するため、日本人データの取得が求められている一方で、後発品については同等性の検証において、日本人データは必須としていない。
そのため、厚労省は2020年2月に発出した事務連絡「バイオ後続品の品質・安全性有効性確保のための指針に関する質疑応答集(Q&A)」を改訂し、後発品と同様に、同等性の検証において民族差が試験結果に影響しないと考えられる場合は、日本人データがなくても受け入れ可能となるよう取り扱いを変更する考えを示した。
具体的には、日本人データの取得の要否を判断する際には、外国人で実施された先行バイオ医薬品とのPK(薬物動態)の同等性を検証する臨床試験、有効性の同等性を検証する臨床試験データの使用が可能であるかを判断材料に挙げた。
その上で、「被験者の民族的要因が試験結果に影響しないと考えられる場合には、海外で外国人を対象に実施された臨床試験データを使用することができ、日本人を組み入れた臨床試験を実施しないことで差し支えない」と明記する方針である。
また、被験者の民族的要因が試験結果に影響しないと考えられる場合の確認については、「先行バイオ医薬品における民族的要因およびその影響を確認すること、先行バイオ医薬品の臨床試験のサブグループ解析により確認することなどが考えられる」とした。
特にバイオシミラーと先行バイオ医薬品の品質特性に差が認められた場合には、「当該差異に着目して民族的要因およびその影響を確認することが重要」とした。