同会議では、国民の医薬品へのアクセス確保、創薬力強化に向けた検討を行う。既にドラッグラグ・ロス、医薬品の安定供給等の課題への対応策を議論する会議体は厚生労働省等に設けられているが、「全体を俯瞰して総合調整を行う司令塔機能」を持つ。
製薬企業、アカデミア、行政等の有識者で構成し、座長には村井英樹内閣官房副長官、座長代理には鴨下一郎内閣官房参与(健康・医療戦略、元衆議院議員)が就いた。
初会合で永井良三構成員(自治医科大学学長)はアカデミアの立場から、創薬力強化に向けた課題と具体的な強化策を示した。バイオ創薬研究の高額化、国内CROの不足と動物実験の価格高騰等により、創薬につながる基礎研究・創薬研究・初期臨床試験の全段階での費用不足を課題に指摘。臨床試験まで辿り着くためには、製薬企業との連携やスタートアップ設立が必要なものの、特に新規モダリティでは製薬企業は初期臨床試験結果がない段階の連携に消極的で、スタートアップ設立が唯一の道とした。
そのため、永井氏は創薬力強化の具体策として、先端創薬機構の設置を提案した。具体的な機能としてスタートアップの起業支援、ベンチャーキャピタルとして投資し、資金調達や経営、臨床試験への移行を支援し、開発候補品の導出やM&Aまでサポート。開発品の創出に向け、大学や製薬企業等の世界最先端のプラットフォームにアプローチも行う。
設立に500~1000億円、運営には年間300億円を想定し、基金の創設、薬価改定費用の流用、民間企業からの投資などを財源とした。
会合後に記者会見した鴨下氏は、「製薬企業やベンチャーが投資の回収を予見できる全体的なエコシステムを作っていく必要があり、それが最終的には国民に最新の医薬品を迅速に届けることにつながる」と述べた。製薬企業のあり方にも言及し、「いずれは競争力のある企業に収斂せざるを得ないと思うが、この会議ではそこまでは議論していない」とした。