フレイル・サルコペニアなどリスクを高める低栄養、要因一つに歯数など口の状態
岡山大学は12月21日、高齢者において、現在歯数が多く嚥下機能が良好な場合、2年後の栄養状態が良好であることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大病院歯科・予防歯科部門の澤田ななみ医員、岡山大学学術研究院医歯薬学域予防歯科学の江國大輔教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Gerodontology」にオンライン掲載されている。
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低栄養は、フレイルやサルコペニア、死亡のリスクを高めると言われている。低栄養に関わるさまざまな要因が調査されているが、その一つとして、口の状態(歯数、舌圧、咀嚼能力など)が挙げられている。しかし、口の状態が悪いため栄養状態が低下するのか、栄養状態が悪いため口の状態が悪くなるのかについては、あまり調査されていなかった。
年齢の影響を受けるが、歯数多/嚥下機能良好で2年後の栄養状態が良好
今回の研究では、岡山大学病院歯科・予防歯科部門を受診した60歳以上の患者を対象に、年齢、性別、全身疾患、歯数、歯周状態、口腔機能、栄養状態、精神的健康状態および飲酒・喫煙習慣を調査。調査データを元に分析を行った。分析の結果、年齢の影響を受けるものの、現在歯数が多く、嚥下機能が良好であると、2年後の栄養状態が良いことがわかった。
同研究結果から、現在歯数や嚥下機能を維持し、良好な栄養状態を保つことで、フレイルやサルコペニアを予防できる可能性が示唆された。健康な歯や嚥下機能を維持することが良好な栄養状態につながり、将来の体の衰えを予防できる可能性がある。これにより、要介護状態になることを防ぎ、健康寿命の延伸に寄与する可能性がある、と研究グループは述べている。
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