有症状/無症状の外側円板状半月板、形態的な特徴の違いは?
大阪公立大学は12月25日、外側円板状半月板において、症状がある症例と無症状例を比較し、形態的特徴を調べた結果を発表した。この研究は、同大大学院医学研究科整形外科学の西野壱哉病院講師、橋本祐介特任教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Knee Surgery, Sports Traumatology, Arthroscopy」にオンライン掲載されている。
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外側円板状半月板とは、本来半月状になっている膝外側の半月板が丸く分厚い形状になっている先天的な形状異常のこと。その多くは、小児期から症状が現れるとされている。日本では、外側円板状半月板の発生頻度は数パーセントから十数パーセントとされており、痛みなどの症状がでなければ治療する必要はない。一方、膝痛、引っかかり感などの症状をきたし手術に至る症例がある。しかし、症状をきたす症例と無症状の外側円板状半月板の形態的な特徴の違いは明らかとなっていなかった。
有症状群、無症状群と比べて冠状半月板・矢状半月板占有率など「大」
今回の研究では、転位のない外側円板状半月板手術症例61膝(有症状群)と、症状はないがMRI上外側円板状半月板が検出された35膝(無症状群)を対象とし、冠状断、矢状断でそれぞれ脛骨幅に対する半月板の占有率を計算。また、半月板最薄部と最厚部の高さも計測した。
その結果、有症状群では無症状群と比べて冠状半月板占有率、矢状半月板占有率が高いことが明らかになった。さらに、逸脱、半月板最厚部高も無症状群と比べて大きいことも明らかになった。有症状円板状半月板は無症状半月板と比べ、半月板形態が水平方向に大きく、特に内部変性の傾向が強いこともわかった。
今後、手術前後の半月板形態的変化を三次元的に調査予定
今回の研究成果により、症状を有する外側円板状半月板は、無症状のものと比べて関節内に占める半月板の幅の割合が大きくなっているという特徴があることがわかった。これらの特徴を踏まえた上で手術の決断や手術計画を立てることは、診療の一助になることが期待される。今後は、手術前後での半月板の形態的な変化を三次元的に調査していく、と研究グループは述べている。
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