厚生労働省は25日、海外で臨床開発が先行した医薬品の国際共同治験開始前の日本人第I相試験実施に関する基本的考え方をまとめ、通知を発出した。日本人第I相の追加実施が不要なケースを「国際共同治験参加前に利用可能なデータから、国際共同治験で検討される用法・用量が日本人治験参加者に適用された時の安全性・忍容性が説明でき、安全性が臨床的に許容・管理可能か検討した上で必要と考えられる場合」と明記し、小児用医薬品などは省略可とした。
9月の厚労省検討会では、科学的判断のもと日本人被験者が必要と認められる場合を除き、原則日本人の第I相試験の追加実施を求めないとする通知案が了承されていたが、国際共同治験に参加する患者の安全性確保への配慮の必要性を踏まえ、記載を修正した。
海外ベンチャーの開発品は、海外で早期臨床開発が進められ、その後の国際共同治験の実施が間近に迫ったケースで日本での参加が検討される。革新的な医薬品の導入が日本で遅れることによる患者の不利益を最小化する観点から、日本人での第I相実施に関する基本的考え方を示した。
第I相を国際共同治験として実施する場合には、「日本がその第I相試験から参加するなど、可能な限り日本人における薬物動態等に関する情報を収集することが望ましい」と推奨。品目ごとにリスクの大きさ、民族的要因の影響の受けやすさ、医療上の必要性など国際共同治験に日本が参加しない場合の不利益等のバランスを踏まえた検討に基づき、日本人第I相試験の必要性を判断する必要があると結論づけた。
一方、希少疾患や難病、小児用医薬品などでは適切なインフォームドコンセントを得た上で、日本人第I相を実施せずとも国際共同治験に参加可能とした。